リード

「みんな、本当はいくら貯めているんだろう?」——2024年発表の調査結果をもとに、年代別の資産保有状況を分析しました。そこにあるのは、一部の富裕層が引き上げる「平均」ではなく、ごく普通の家庭の姿を示す「中央値」の切実な数字です。

全世代共通:「平均値」と「中央値」の罠

統計を見る際、最も注意すべきなのが平均値と中央値の差です。

  • 平均値:資産額の合計を人数で割ったもの。超富裕層が一人いるだけで跳ね上がります。
  • 中央値:資産額が低い順に並べてちょうど真ん中の人の額。こちらが「世間一般の感覚」に近い実態です。

この2つの数字の乖離が大きいほど、資産の二極化が進んでいることを意味します。年代が上がるにつれて、この乖離がどう広がるかを以下のデータで確認してください。

年代別・金融資産保有額データ(二人以上世帯)

「金融資産を保有していない世帯(貯蓄ゼロ)」も含めた、リアルな資産状況です。

年代 平均値 中央値(現実) 資産非保有(貯蓄ゼロ)
20代 352万円 143万円 30.5%
30代 735万円 350万円 21.0%
40代 1,044万円 470万円 22.1%
50代 1,390万円 700万円 23.3%
60代 2,028万円 700万円 20.3%

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」

年代別・平均値 vs 中央値の乖離(二人以上世帯)
0 500万 1,000万 1,500万 2,000万 20代 30代 40代 50代 60代 平均値 中央値(現実)
60代で平均値が急増するのは退職金の効果。しかし中央値は50代と変わらず700万円にとどまる。

各年代が抱える「資産の壁」

20〜30代:二極化の始まり

30代になると「貯蓄ゼロ」の世帯が減る一方で、資産形成を始めた層との差が開き始めます。結婚や出産といったライフイベントが重なり、「貯められる人」と「支出に追われる人」の二極化が鮮明になります。

40〜50代:教育費と老後不安の板挟み

40代以降、平均値は1,000万円を超えますが、中央値は依然として低いままです。住宅ローンや教育費の負担がピークを迎え、「資産は増えているが、手元の現金に余裕がない」という世帯が多いのが特徴です。

60代:退職金による「格差の完成」

60代で平均値が急増するのは、退職金の入金があるためです。しかし中央値は50代と変わらず700万円にとどまっており、「老後2,000万円問題」をクリアできている世帯は一部に限られているという厳しい現実があります。

データから読み解く現実

「自分は平均より低い」と焦る必要はありません。むしろ「中央値ですら、老後の備えとしてはまだ不十分である」という客観的な事実を受け止め、今日からできる一歩を踏み出すことが大切です。

まとめ:平均に惑わされず、自分の「出口」を見据える

「中央値」が現実の姿——平均値は富裕層に引き上げられる 60代の平均値2,028万円に対し中央値は700万円。この差が日本の資産格差の実態を示しています。
貯蓄ゼロ世帯は全年代で約2割存在する まずは生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)の確保が最優先。貯蓄ゼロの状態では投資のスタートラインにも立てません。
複利の時間を味方にする——今が最大のチャンス 20〜40代の中央値が低い今こそ、少額からでも「投資の試行回数」を稼ぎ始める絶好の機会。新NISAで月1万円から始めるだけで10年後の差は歴然です。