2026年度の教育費支援を整理:高校無償化の拡充・多子世帯の大学支援・電気ガス補助で、浮く金額の目安と申請のポイント
2026年度から、高校の就学支援金は所得制限がなくなり、私立全日制では授業料の範囲内で年45.72万円まで支給されます。大学等では、扶養する子が3人以上の多子世帯の授業料・入学金の減免(私立大学は授業料70万円・入学金26万円まで)が、2025年度から所得制限なしで実施されています。本記事では、文部科学省の資料で確認できる内容をもとに、2025年度と比べて何が変わったか、世帯タイプ別に浮く金額の目安、申請の注意点、浮いた資金の考え方を整理します(2026年11月に内容を更新・訂正しました)。
1. 2026年度に変わったこと・変わっていないこと
「2026年度から全部が変わった」と受け取られがちですが、制度ごとに始まった年度が違います。混同しやすいので、先に整理します。
- 高校の就学支援金(2026年度に拡充) — 所得制限がなくなり、私立全日制の上限が年45.72万円に(授業料の範囲内)。2025年度は、年収約910万円以上の世帯には「臨時支援金」として年11.88万円が支給されていました(2025年度限り)。
- 多子世帯の大学等の減免(2025年度から) — 扶養する子が3人以上の世帯は、所得制限なしで授業料・入学金が減免されます。2026年度に新しく始まった制度ではなく、継続しています。
- 電気・ガスの支援(時限措置) — 2026年7〜9月使用分の夏の支援は終了し、冬の支援(12月〜2027年2月使用分)が決定しています。
これらは自動的には適用されず、申請が必要なもの(高校・大学等)と、申請不要で自動的に値引きされるもの(電気・ガス)があります。いずれも、制度の詳細は変わることがあるため、最新の内容は文部科学省・こども家庭庁・学校の案内で確認してください。
2. 高校の就学支援金:所得制限の撤廃と私立の上限45.72万円
2026年度の上限額(所得制限なし)
| 学校種別 | 支給上限(年額) | 備考 |
|---|---|---|
| 国立全日制 | 11.52万円 | 授業料の範囲内 |
| 公立全日制 | 11.88万円 | 授業料の範囲内(実質無償) |
| 私立全日制 | 45.72万円 | 授業料の範囲内 |
| 私立通信制 | 33.72万円 | 授業料の範囲内 |
出典:文部科学省・政府広報(2026年度)。授業料が上限より安い場合は、授業料までの支給です。
2025年度からの違い
- 2025年度まで:年収約910万円未満の世帯に就学支援金。私立の加算は年収約590万円未満の世帯で上限39.6万円。年収約910万円以上の世帯には、2025年度に限り「高校生等臨時支援金」として年11.88万円が支給されました。
- 2026年度:所得に関係なく、私立全日制は授業料の範囲内で上限45.72万円。
このため、年収約910万円以上の世帯で私立全日制に通う場合、2025年度と比べた増加額は1人あたり約33.8万円(45.72万円−11.88万円)です。「年間45.7万円の節約」と考えると、2025年度の臨時支援金の分を二重に数えることになります。なお、東京都のように独自の授業料軽減助成を持つ自治体もあり、実際の負担は居住地によって異なります。
例年収950万円・私立全日制の高校生2人(授業料は上限以上と仮定)
- 2026年度の支給上限:45.72万円×2人=91.44万円/年
- 2025年度(臨時支援金):11.88万円×2人=23.76万円/年
- 2025年度からの増加額:約67.7万円/年
※授業料が上限を下回る場合は授業料まで。自治体の独自助成がある場合は、実際の増加額はこれより小さくなることがあります。
授業料以外の支援:高校生等奨学給付金
教科書代・教材費などの授業料以外の費用への支援として、高校生等奨学給付金があります。2026年度は対象が年収約490万円未満の世帯まで拡大されました(政府広報)。対象になるかは、お住まいの都道府県の案内で確認してください。
3. 多子世帯の大学等の授業料・入学金の減免(2025年度から)
制度の基本:高等教育の修学支援新制度(多子世帯)
扶養する子が3人以上の世帯では、大学・短大・高専・専門学校に在学する子が、所得制限なしで授業料・入学金の減免を受けられます。この間は、第1子から在学する子が全員対象です(「3人目以降だけ」という制度ではありません)。2025年度(令和7年度)から実施されており、2026年度も継続しています。
| 学校種別 | 授業料の減免上限(年額) | 入学金の減免上限 |
|---|---|---|
| 国公立大学 | 約54万円 | 約28万円 |
| 私立大学 | 70万円 | 26万円 |
出典:文部科学省・高等教育の修学支援新制度のFAQ(令和8年9月更新)。私立大学4年間では最大 70万円×4年+26万円=306万円。
従来の修学支援新制度は、年収約380万円までの世帯が中心でした。2024年度(令和6年度)からは、多子世帯と私立の理工農系の学生について、年収約600万円までの世帯にも1/4の支援が拡大されています。
「3人以上の扶養」の判定
- 判定の方法:マイナンバーを通じて、日本学生支援機構(JASSO)が税情報(住民税情報)で扶養している子の人数を確認します。基準日は、申込年の前年または前々年の12月31日時点です。
- 判定のタイミング:毎年10月に、前年12月31日時点の扶養状況で判定されます。そのため、長子が3月に卒業して4月に就職しても、直ちに対象外になるとは限りません(令和8年3月卒業の場合、第2子以下は令和9年9月まで多子世帯と判定され得ます)。
- 扶養から外れる場合:子本人のアルバイト収入などが一定額を超えると、扶養親族に数えられなくなります(令和7年分の目安は、19歳未満・23歳以上で給与収入123万円以下、19歳以上23歳未満で160万円以下)。大学院生は扶養する子の人数に含められます。
例年収1,200万円・子供3人(大学生・高校生・中学生)の世帯
- 長子(大学2年生):3人を扶養している間は、長子も減免の対象。
- 次子(高校生)・三子(中学生):大学等に在学していないため、大学の減免の対象外(高校の就学支援金は別途)。
ポイント:長子が卒業して扶養から外れると、扶養する子が2人になり、次子・三子の大学進学時には多子世帯の対象外となることがあります。判定は毎年の税情報で行われます。
4. 電気・ガス料金の支援:夏は終了、冬の支援が表明
2026年7〜9月使用分(終了)
夏の支援は、使用量に応じた単価で自動的に値引きされました(申請不要)。単価は次のとおりです(東京ガス・大阪ガスの案内、出典は資源エネルギー庁)。
| 使用月 | 電気(低圧) | 都市ガス |
|---|---|---|
| 7月・9月 | 3.5円/kWh | 14円/㎥ |
| 8月 | 4.5円/kWh | 18円/㎥ |
試算月300kWh・都市ガス30㎥の家庭(3か月合計)
- 電気:1,050円(7月)+1,350円(8月)+1,050円(9月)=3,450円
- 都市ガス:420円+540円+420円=1,380円
- 合計:約4,830円(使用量や契約により変動)
値引きは、使用月の翌月以降の検針・請求に反映されます。表示のされ方は電気・ガス会社によって異なるため、請求書や明細で確認してください。
冬の支援(2026年12月〜2027年2月使用分)
首相は2026年10月29日、冬の支援を表明しました(資源エネルギー庁の発表で最終確認してください)。2026年12月使用分は電気1.0円/kWh・ガス4.0円/㎥、2027年1・2月使用分は電気4.5円/kWh・ガス18円/㎥です。こちらも申請は不要です。
5. 世帯タイプ別シミュレーション:どれだけ支援され、2025年度からいくら増えるか
ここでは、代表的な3つの世帯タイプについて、2026年度の制度上の支援額(上限ベース)と、2025年度から実際に増えた額を分けて試算します。
ケース①:年収950万円・私立高校生2人の世帯
- 2026年度の就学支援金(上限):45.72万円×2人=91.44万円/年
- 2025年度の臨時支援金:11.88万円×2人=23.76万円/年
- 夏の電気ガス支援:約0.5万円
結果(想定):2025年度から約67.7万円/年の増加(制度上の支援額の合計は約91.9万円)
ケース②:年収850万円・子供4人(大学生・高校生・中学生・小学生)の世帯
世帯構成:夫婦+大学1年生(私立文系・長子)+高校2年生(私立)+中学3年生+小学5年生
- 高校の就学支援金:45.72万円/年(2025年度の臨時支援金・就学支援金は世帯の所得により異なる)
- 大学の減免(多子世帯):授業料70万円+入学金26万円=96万円(初年度)、70万円(2年目以降)
- 夏の電気ガス支援:約0.5万円
結果(想定):制度上の支援は初年度約142.2万円、2年目以降約116.2万円。ただし、大学分は2025年度から続く制度で、2026年度に増えた分は高校分(最大で約33.8万円)が中心です。
ケース③:年収1,200万円・子供3人(大学生2人・高校生)の世帯
世帯構成:夫婦+大学3年生(私立理系・長子)+大学1年生(国公立・次子)+高校2年生(私立・三子)
- 高校の就学支援金:45.72万円/年
- 大学の減免(多子世帯):長子の授業料70万円+次子の授業料約54万円+次子の入学金約28万円(初年度)=約152万円(初年度)、約124万円(2年目以降)
- 夏の電気ガス支援:約0.5万円
結果(想定):制度上の支援は初年度約198.2万円、2年目以降約170.2万円。2026年度に増えた分は、高校分の約33.8万円です(大学分は2025年度から)。
※長子が卒業して扶養から外れると、次子・三子の対象外となることがあります。
6. 申請手続きのポイント:高校・大学等
高校の就学支援金
- 案内:新入生・在校生とも、4月に学校から案内があります。申請はオンライン(e-Shien)または書類で行います。
- 必要書類:国籍・在留資格の確認のため、個人番号カードの写し、または住民票の写し(原本)を提出します。収入要件がなくなったため、所得証明書・課税証明書は不要です。
- 認定:認定の通知は5〜6月ごろで、支給は授業料に充当されます。学校によっては、授業料をいったん徴収して後日還付する場合があります。
- 期限:期限や、遅れて申請した場合の扱いは学校・都道府県により異なります。未申請の場合は、早急に学校または都道府県に問い合わせてください。
大学等の修学支援(JASSO経由)
- 予約採用:高校3年の4月下旬から申込みできます。
- 在学採用:春は4月から、秋は9月から。期限は学校ごとに異なります。
- 用意するもの:マイナンバーが分かるもの(個人番号カード、またはマイナンバー記載の住民票など)。扶養している子の人数はマイナンバーを通じて税情報で確認されるため、住民票や健康保険証で多子世帯を証明する手続きは基本的に不要です。
- 継続:毎年、扶養状況の判定(10月)や学業要件の確認があります。具体的な時期は学校とJASSOの案内で確認してください。
- 入学金:予約採用の候補者は、入学金の納入が猶予される場合があります(学校により異なる)。進学先に確認してください。
7. 浮いた教育費の考え方:貯蓄・NISA・習い事のバランス
支援制度で負担が軽くなった分をどう使うかは、世帯の状況によって異なります。ここでは、2025年度から実際に増えた分を基準に、考え方の一例を示します(支援金は現金で入るのではなく、授業料の減免・充当であり、これまで支払っていた額が減ることで家計に余裕が生まれる、という意味です)。
- 緊急予備資金(生活費6か月分) — まだ確保できていない場合は最優先
- 次の教育費の積立 — 大学進学が控えている場合は、定期預金や学資保険など元本が減りにくい方法で
- 長期の資産形成(NISA・iDeCo) — 教育費の目処が立っている場合
- 習い事・体験 — 無理のない範囲で
例ケース①(2025年度から約67.7万円増)の配分の一例
- 大学進学資金の積立:約50%(約34万円)
- 新NISA:約30%(約20万円)
- 習い事・体験:約10%(約7万円)
- 予備:約10%(約7万円)
ポイント:2年後に長子が大学進学を控えるため、流動性の高い方法で教育資金を確保し、余裕資金をNISAで運用する考え方。割合は例示であり、推奨ではありません。
注意すべき落とし穴
- 浮いた分を全額消費に回さない — 将来の教育費・老後資金が不足するリスクがあります。
- 近い将来に使う教育資金は、株式に偏らせない — 2〜3年後に大学進学が控えている場合、暴落時に資金が足りなくなる可能性があります。
- 習い事を増やしすぎない — 子供の負担増と家計の再圧迫に注意。
8. よくある質問
Q1. 高校の就学支援金の申請に所得証明書は必要ですか?
A. 2026年度は収入要件がないため、所得証明書・課税証明書は不要です。国籍・在留資格の確認のため、個人番号カードの写しまたは住民票の写しが必要です。詳細は学校にご確認ください。
Q2. 遅れて申請した場合、さかのぼって支給されますか?
A. 扱いは学校・都道府県により異なり、本記事では確認できていません。「7月末まで」といった一律の期限は一次資料にありません。未申請の場合は、できるだけ早く学校または都道府県に問い合わせてください。
Q3. 高校の就学支援金と大学の減免を同時に受けられますか?
A. 制度の対象が別(高校生と大学生)なので、それぞれの子について受けられます。
Q4. 私立高校の授業料が支援額を下回る場合、差額は受け取れますか?
A. 受け取れません。授業料までの支援です。
Q5. 「3人以上の扶養」はどう判定されますか?
A. マイナンバーを通じて、JASSOが税情報(前年または前々年12月31日時点の扶養状況)で確認します。判定は毎年10月に行われ、子の卒業・就職の翌年の判定まで対象になることがあります。子本人の収入が一定額を超えると、扶養親族に数えられません。
Q6. 電気・ガスの支援は申請が必要ですか?
A. 申請不要で、電気・ガス会社が自動的に値引きします。夏(7〜9月使用分)は終了し、冬(12月〜2027年2月使用分)の支援が決定しています。
9. まとめ
- 高校:所得制限がなくなり、私立全日制は授業料の範囲内で年45.72万円まで。2025年度との差は、年収約910万円以上の世帯で1人あたり約33.8万円。
- 大学等:多子世帯(扶養する子3人以上)の授業料・入学金の減免は2025年度から。私立大学は授業料70万円・入学金26万円まで。上限を超える費用や施設費は自己負担。
- 電気・ガス:夏の支援は終了(月300kWh・30㎥で3か月約4,800円)。冬の支援を表明済み。
- 申請:高校は4月に学校から案内(所得証明は不要)、大学等は学校・JASSOの案内に従う。
- 浮いた資金:緊急予備資金 → 次の教育費 → 資産形成 → 習い事の順で検討。
制度を正しく理解し、必要な手続きを確実に行うことが、支援を受けるうえでの第一歩です。最新の内容は、文部科学省のウェブサイトや学校・自治体の案内で確認してください。
①多子世帯の大学等の減免を「2026年度から」としていたのを、2025年度からの制度に訂正しました。②「2025年度までは年収910万円超は対象外」を訂正し、2025年度の臨時支援金(年11.88万円)を踏まえた増加額(約33.8万円/人)に改めました。③就学支援金の表を2026年度の上限額(私立全日制45.72万円など)に差し替えました。④高校の申請手続き(4月案内、所得証明は不要)の記述を訂正し、根拠のない「7月末」の期限を削除しました。⑤電気ガス補助の金額を、実際の単価で再計算(3か月約4,800円)に訂正し、冬の支援を追記しました。⑥タイトルの「最大150万円」を削除し、各ケースを再計算しました。⑦扶養判定の方法、「実質無償」の表現、CTAの紹介文も訂正しました。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。制度内容は2026年7月時点の情報に基づき、2026年11月3日に文部科学省などの資料で確認・訂正したもので、今後変更される可能性があります。実際の申請手続きや支援額は、在学する学校・自治体・所得状況により異なるため、必ず学校または自治体の窓口で最新情報を確認してください。
記事内のシミュレーションはすべて仮想の人物設定に基づく概算であり、実際の支援額・運用成果を保証するものではありません。NISA・iDeCoなどの資産運用にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。
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