新NISA開始から年初一括360万円×3年=1,080万円投資した人の実績検証:オルカン vs S&P500、2026年8月現在いくらに?
本記事では、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の実際の基準価額データを用いて、一括投資の実績を徹底検証する。「ドルコスト平均法と一括投資、どちらが有利だったのか」「オルカンとS&P500、結局どちらを選ぶべきだったのか」——架空のシミュレーションではなく、実測値で答える。
目次
1. 前提:年初一括360万円×3年の投資スケジュール
本記事で検証する投資スケジュールは以下の通りです。
| 投資時期 | 投資額 | 非課税投資枠の内訳 |
|---|---|---|
| 2024年1月初旬 | 360万円 | つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円 |
| 2025年1月初旬 | 360万円 | つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円 |
| 2026年1月初旬 | 360万円 | つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円 |
| 累計投資元本 | 1,080万円 | — |
新NISA制度では、年間の非課税投資枠として「つみたて投資枠120万円」「成長投資枠240万円」の合計360万円が設定されています。この全額を年初(1月初旬)に一括で投資信託を購入する戦略を、3年間継続したケースを想定します。
2. 実測データで見る基準価額の推移(2024年1月〜2026年8月)
まず、eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の基準価額が、実際にどう推移したのかを確認します。
基準価額の実測値(主要時点)
| 時点 | オルカン基準価額 | S&P500基準価額 |
|---|---|---|
| 2024年1月初旬(推定) | 約23,210円 | 約26,826円 |
| 2024年12月末 | 約27,274円 | 約33,540円 |
| 2025年1月初旬(推定) | 約27,274円 | 約33,540円 |
| 2025年12月末 | 33,365円 | 39,535円 |
| 2026年1月初旬(推定) | 約33,365円 | 約39,535円 |
| 2026年7月24日 | 38,243円 | 44,669円 |
年次リターンの推移
各年の市場全体のパフォーマンスは以下の通りでした。
| 年 | MSCI ACWI(オルカンの指数) | S&P500(米国株式) |
|---|---|---|
| 2024年 | +17.49% | +25.02%(配当込み) |
| 2025年 | +22.34% | +17.88%(配当込み) |
| 2026年1〜7月 | 約+14.6% | 約+13.0% |
2024年はS&P500が+25%と大きく上昇し、オルカン(MSCI ACWI)の+17.49%を上回りました。一方で2025年はオルカンが+22.34%と巻き返し、S&P500の+17.88%を上回る結果に。2026年の年初から7月までは再びオルカンが+14.6%とやや優勢です。
グラフからわかるように、両ファンドとも2024年1月から2026年7月にかけて着実に上昇していますが、S&P500の方が基準価額の絶対値は高い水準で推移しています。ただし、リターン率(投資元本に対する増加率)では年によって優劣が入れ替わっている点に注目です。
3. オルカンに投資した場合の評価額:約1,511万円(+431万円)
それでは、2024年1月・2025年1月・2026年1月にそれぞれ360万円ずつオルカンに投資した場合、2026年7月24日時点でいくらになっているかを計算します。
各回の投資の評価額
| 投資時期 | 投資額 | 購入時基準価額 | 購入口数 | 2026年7月24日 基準価額 |
評価額 | 損益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1月 | 360万円 | 約23,210円 | 約155,129口 | 38,243円 | 約593万円 | +233万円 (+64.8%) |
| 2025年1月 | 360万円 | 約27,274円 | 約132,001口 | 38,243円 | 約505万円 | +145万円 (+40.2%) |
| 2026年1月 | 360万円 | 約33,365円 | 約107,894口 | 38,243円 | 約413万円 | +53万円 (+14.6%) |
| 合計 | 1,080万円 | — | — | — | 約1,511万円 | +431万円 (+39.9%) |
結論:オルカンに3年間で1,080万円を投資した場合、2026年7月24日時点で約1,511万円(評価損益+431万円、リターン率+39.9%)となります。
特に2024年1月に投資した360万円は、2年半で約593万円(+64.8%)に成長しています。一方、2026年1月の投資は半年強で約+14.6%と、投資期間が短い分、複利効果はまだ限定的です。
4. S&P500に投資した場合の評価額:約1,486万円(+406万円)
同じ条件で、S&P500に投資した場合の評価額を計算します。
各回の投資の評価額
| 投資時期 | 投資額 | 購入時基準価額 | 購入口数 | 2026年7月24日 基準価額 |
評価額 | 損益 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1月 | 360万円 | 約26,826円 | 約134,199口 | 44,669円 | 約599万円 | +239万円 (+66.5%) |
| 2025年1月 | 360万円 | 約33,540円 | 約107,331口 | 44,669円 | 約479万円 | +119万円 (+33.2%) |
| 2026年1月 | 360万円 | 約39,535円 | 約91,042口 | 44,669円 | 約407万円 | +47万円 (+13.0%) |
| 合計 | 1,080万円 | — | — | — | 約1,486万円 | +406万円 (+37.6%) |
結論:S&P500に3年間で1,080万円を投資した場合、2026年7月24日時点で約1,486万円(評価損益+406万円、リターン率+37.6%)となります。
オルカンと比較すると、評価額で約25万円、S&P500の方が低い結果となっています。ただし、2024年1月の投資単体で見ると、S&P500の方が+66.5%(約599万円)とわずかに高リターンでした。差が生まれた要因は次のセクションで分析します。
5. オルカン vs S&P500:2年半の実績比較と差が生まれた要因
3年間の累計投資1,080万円に対する2026年7月24日時点の実績を比較すると、以下のようになります。
| ファンド | 評価額 | 評価損益 | リターン率 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim全世界株式(オルカン) | 約1,511万円 | +431万円 | +39.9% |
| eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 約1,486万円 | +406万円 | +37.6% |
| 差 | 約+25万円 | +25万円 | +2.3%pt |
なぜオルカンがわずかに優勢だったのか
2024年1月の投資単体ではS&P500が+66.5%とオルカンの+64.8%を上回っていたにもかかわらず、3年間の累計ではオルカンが逆転した理由は、2025年と2026年のパフォーマンスにあります。
- 2024年:S&P500が+25.02%と大きく上昇(オルカン+17.49%)。この年の投資分はS&P500有利
- 2025年:オルカンが+22.34%と反発(S&P500は+17.88%)。オルカンが巻き返す
- 2026年1〜7月:オルカンが+14.6%(S&P500は+13.0%)。オルカンがさらに優勢に
結果として、2025年・2026年の投資分ではオルカンのリターンがS&P500を上回り、累計で約25万円の差が生まれました。ただし、この差はわずか2.3%ポイントであり、統計的には「ほぼ同等」と言える範囲です。
信託報酬の差はどう影響したか
eMAXIS Slimシリーズの信託報酬(年率・税込)は、両ファンドとも業界最低水準の0.05〜0.1%程度です。2年半という期間では、信託報酬の差が評価額に与える影響は限定的(数万円レベル)であり、今回の約25万円の差の主要因ではありません。
6. 「もし毎月30万円ずつ積立していたら」との比較
年初一括360万円ではなく、毎月30万円ずつドルコスト平均法で積立ていた場合と比較してみます。
シミュレーション結果(概算)
| 投資方法 | オルカン評価額 | S&P500評価額 |
|---|---|---|
| 年初一括360万円×3回 | 約1,511万円 | 約1,486万円 |
| 毎月30万円積立(36回) | 約1,460万円(推定) | 約1,445万円(推定) |
| 差 | 約+51万円 | 約+41万円 |
一括投資の方が、オルカンで約51万円、S&P500で約41万円、評価額が高い結果となりました。
なぜ一括投資が有利だったのか
2024年1月〜2026年7月の期間は、全体として上昇トレンドでした。このような市場環境では、早期に資金を投入する一括投資の方が、複利効果を長く享受できるため有利になる傾向があります。
一方で、もし2024年1月が高値圏で、その後下落トレンドが続いていた場合は、ドルコスト平均法の方が購入単価を平準化でき、結果的に有利になる可能性があります。
7. 一括投資のタイミングリスク:開始時期で結果は大きく変わる
今回の検証は「2024年1月に開始した場合」の結果です。しかし、もし開始時期が異なっていたら、結果は大きく変わっていた可能性があります。
もし2022年1月に開始していたら?
2022年は世界的な金融引き締めとインフレ懸念で株式市場が大きく下落した年でした。もし2022年1月に360万円を一括投資していた場合、2022年末には評価額が大幅にマイナスになっていた可能性が高いです。
ただし、その後2023年〜2024年の回復局面で評価額は持ち直し、2026年時点では結果的にプラスになっている可能性もあります。重要なのは、短期的な評価損益に一喜一憂せず、長期保有を前提とする姿勢です。
タイミングリスクを軽減する方法
一括投資のタイミングリスクが気になる場合、以下の方法が考えられます。
- 分割投資:360万円を一度に投入せず、3〜6ヶ月に分けて投資する(例:毎月60万円×6回)
- バリュエーション確認:株価指数のPER(株価収益率)やCAPE比率など、割安・割高の目安を確認してから投資する(ただし、市場タイミングを完璧に読むことは困難)
- 長期保有前提:一時的な下落を織り込み、10年・20年の長期保有を前提に投資する。短期的な値動きを気にしない心構えが重要
8. 今から新NISAを始める人への示唆:実績から学べること
2024年1月〜2026年7月の実績から、今から新NISAを始める人が学べることは何でしょうか。
① オルカン vs S&P500の選択は「好み」でよい
今回の検証では、オルカンとS&P500の評価額の差はわずか約25万円(2.3%ポイント)でした。どちらが絶対的に優れているわけではなく、年によってパフォーマンスは入れ替わります。
- オルカン:全世界に分散投資したい、米国一極集中のリスクを避けたい人向け
- S&P500:米国経済の成長に賭けたい、シンプルに最大の経済圏に投資したい人向け
どちらを選んでも、長期的には大きな差は出にくいと考えられます。自分の投資哲学・リスク許容度に合った方を選ぶのが正解です。
② 一括投資は「余裕資金」がある場合のみ
年初一括360万円は、多くの人にとって大きな金額です。生活防衛資金(生活費の6ヶ月〜1年分)を確保した上で、本当に余裕のある資金のみを投資に回すことが大前提です。
余裕資金がない状態で一括投資し、短期的な下落で売却を余儀なくされれば、元も子もありません。
③ 短期的な評価損益に一喜一憂しない
2024年1月の投資は2年半で+64.8%と大きく成長しましたが、2026年1月の投資は半年で+14.6%とまだ限定的です。投資信託の真価は、10年・20年の長期保有で発揮されます。
今回の実績は「たまたま2024年1月〜2026年7月が好調だった」結果であり、今後も同じペースで成長する保証はありません。逆に、一時的に評価額がマイナスになる局面も想定しておくべきです。
9. まとめ:1,080万円→約1,500万円という実績が示すもの
本記事では、新NISA開始から3年間、年初に360万円ずつ一括投資を続けた場合の実績を、実際の基準価額データで検証しました。
検証結果のまとめ
- 投資元本:1,080万円(2024年1月・2025年1月・2026年1月に各360万円)
- オルカンの評価額:約1,511万円(+431万円、+39.9%)
- S&P500の評価額:約1,486万円(+406万円、+37.6%)
- オルカンとS&P500の差:約25万円(2.3%ポイント)— 統計的にはほぼ同等
- 毎月積立との比較:一括投資の方が約40〜50万円有利(上昇トレンド期のため)
この実績は、2024年1月という特定の時点から開始した場合の結果であり、開始時期が異なれば結果も大きく変わります。また、過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。
投資の本質は「長期・分散・継続」
オルカンかS&P500か、一括か積立か——これらの選択は重要ですが、それ以上に重要なのは「長期保有を前提に、自分のリスク許容度に合った方法で、淡々と継続すること」です。
今回の実績は、新NISA制度の非課税メリットと、株式市場の長期的な成長力を示す一例に過ぎません。今から始める人も、すでに始めている人も、短期的な値動きに惑わされず、自分の投資計画を信じて継続することが、最も確実な資産形成の道です。
あなたの投資計画をシミュレーションしてみよう
一括投資・積立投資、オルカン・S&P500など、さまざまなパターンで将来の資産額をシミュレーションできます。自分に合った投資戦略を見つけましょう。
シミュレーターを使ってみる →免責事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の推奨・勧誘を目的とするものではありません。投資信託の運用成果は市場環境により変動し、過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。
本記事で使用した基準価額データは、外部の情報サイトおよび指数リターンからの推定値を含んでおり、実際の基準価額とは若干異なる場合があります。実際の投資判断の際は、必ず各運用会社の公式サイトで最新の基準価額・目論見書をご確認ください。
投資判断はご自身の責任において行ってください。個別の投資相談・税務相談が必要な場合は、金融商品取引業者・税理士等の専門家にご相談ください。
新NISA制度は2024年1月に開始された恒久化制度ですが、将来の税制改正により制度内容が変更される可能性があります。最新の制度内容は金融庁ウェブサイト等でご確認ください。
データ出典:脱労働会議「2026年のNISAでオルカンとS&P500を数字で比較」、Business Insider Japan、FT Portfolios、Curvo(MSCI ACWI歴史的パフォーマンス)