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株式比率『100-年齢』ルールのポートフォリオは機能するのか2026:1985〜2024年の40年間バックテストで検証

📅 公開日:2026年9月11日 ⏱️ 読了時間:約12分
「株式比率は100から年齢を引いた数字にする」——この伝統的な資産配分ルールを、あなたは聞いたことがあるかもしれません。25歳なら株式75%、65歳なら株式35%。理屈の上では合理的に見えるルールですが、実際に1987年ブラックマンデー、2000年ITバブル崩壊、2008年リーマンショック、2020年コロナショック、2022年株式・債券同時安という5つの暴落局面を経た40年間で、このルールは本当に機能したのでしょうか。今回、1985年(25歳)から2024年末(64歳)までの実際のS&P500と米10年国債のリターンデータを使い、「100-年齢」ルールで毎年リバランスした場合の最終資産額と最大ドローダウンを、株式100%・60/40固定と比較検証しました。教科書通りのルールが実測データでどう機能したのか、数値で明らかにします。
📑 目次
  1. 「100-年齢」ルールとは何か:誕生の背景と基本的な考え方
  2. 1985〜2024年の40年間バックテスト設計:検証の前提条件
  3. 【実証結果】年齢別ポートフォリオのリターンとリスク推移
  4. バブル崩壊・リーマンショック・コロナショック時の各年齢の損失比較
  5. 「100-年齢」vs「120-年齢」vs「株式100%」:3パターンの成績比較
  6. 長寿化・低金利時代における「100-年齢」ルールの限界
  7. 年齢別の株式比率の考え方:「100-年齢」を調整する場合の例
  8. まとめ:あなたの年齢で取るべきポートフォリオ戦略

「100-年齢」ルールとは何か:誕生の背景と基本的な考え方

「100-年齢」ルールは、ポートフォリオにおける株式と債券の配分比率を年齢に応じて機械的に決定する資産配分の指針です。具体的には、100から自分の年齢を引いた数字を株式の比率(%)とし、残りを債券に配分するというシンプルなルールです。

例えば:

この考え方の背景には、年齢が上がるほど暴落からの回復に必要な時間的余裕が減るという前提があります。若い時期であれば、株価が大きく下落しても回復を待つ時間があり、収入も長期にわたって得られるため、株式比率を高めにしてリターンを追求できます。一方、退職が近づくにつれて、暴落後に資産が半減したまま取り崩しを始めると生活に支障が出るため、債券比率を高めて資産の変動を抑える必要があります。

ルールの学術的起源と普及

この「100-年齢」ルールの考案者や正確な起源は特定されていません。古くからの経験則として知られ、「115〜140-年齢」のように、より株式比率の高い式も紹介されています(出典:Retire Before Dad、Morningstar)。なお、William Bengen氏は「4%ルール」(退職後の安全な取り崩し率)の提唱者として知られています。

ただし、このルールはあくまで目安であり、個人のリスク許容度・収入の安定性・他の資産状況によって調整が必要です。近年では平均寿命の延びや低金利環境を踏まえ、「120-年齢」や「110-年齢」といったより積極的なバリエーションも提唱されています。

💡 補足:このルールは米国で普及したものであり、債券部分は主に米国債(長期国債)を想定しています。日本国内で実践する場合、円建て債券やバランス型投資信託を組み合わせる方法が一般的です。

1985〜2024年の40年間バックテスト設計:検証の前提条件

今回の検証では、1985年1月(25歳で投資開始)から2024年12月(40年後の65歳で投資終了)までの40年間を対象期間とします。この期間を選んだ理由は、以下の5つの主要な暴落局面を含むためです。

暴落局面 期間 S&P500の下落率 出典
ブラックマンデー 1987年10月19日(1日) -20.4% Federal Reserve History
ITバブル崩壊 2000〜2002年(3年間) 累積-49% SoFi、String Theory Lab
リーマンショック 2007年10月〜2009年3月 -56.8% Wikipedia、Maximum Drawdown分析
コロナショック 2020年2月19日〜3月23日 -34% CNBC、Statista
株式・債券同時安 2022年通年 60/40で約-18% Damodaran(NYU Stern)の年次データ

検証の前提条件

⚠️ 注意:以下のシミュレーション結果はすべて過去の実測データに基づく仮想計算です。将来の運用成果を保証するものではありません。

比較する3つのパターン

今回の検証では、以下の3つの資産配分パターンを比較します。

パターン 株式比率 債券比率 リバランス
①「100-年齢」ルール 100 − 年齢(%) 残り 毎年1月1日に実施
②株式100% 100% 0% なし
③60/40固定 60% 40% 毎年1月1日に実施

【実証結果】年齢別ポートフォリオのリターンとリスク推移

まず、「100-年齢」ルールで40年間積立投資を続けた場合の最終資産額と平均年率リターンを計算しました。比較のため、株式100%・60/40固定の結果も併記します。

40年間積立投資の最終資産額(概算)

パターン 積立元本 最終資産額(概算) 運用益 年率リターン(資産全体)
①「100-年齢」ルール1,440万円約9,130万円約7,690万円約9.2%
②株式100%1,440万円約2億800万円約1億9,360万円約11.7%
③60/40固定1,440万円約1億1,750万円約1億310万円約9.8%

この結果から分かるように、最終資産額では株式100%が最も大きく、「100-年齢」ルールはその約44%、60/40固定は約56%にとどまります。

株式100%との差額は約1億1,700万円。これは、資産が大きくなる積立の後半ほど株式比率が低くなること、およびこの期間の米国株が大きく上昇したことが原因です。また、「100-年齢」ルールは60/40固定よりも最終資産額が約2,600万円少なくなりました。これらの結果は、米国株が好調だった今回の期間に大きく左右されます。長期的なリターン最大化だけを目指すなら、株式100%が有利という結果になります。

しかし、重要なのは「下落時の損失」

最終資産額だけを見れば株式100%が最も優れていますが、投資において重要なのは暴落時にどれだけ損失を抑えられるかです。特に退職が近づくにつれて、大きなドローダウン(資産の目減り)が発生すると、回復を待つ時間的余裕がなくなります。

次のセクションで、各暴落局面における損失の違いを詳しく見ていきます。

バブル崩壊・リーマンショック・コロナショック時の各年齢の損失比較

1985〜2024年の40年間には、5つの主要な暴落局面がありました。それぞれのタイミングで「100-年齢」ルールに従った投資家の年齢と株式比率、指数の下落率から見た損失の目安、および年次データで計算した暦年リターンを示します。

各暴落局面での年齢・株式比率・損失率

暴落局面 年齢 株式比率(100-年齢) 株式部分の下落の目安(債券を除く) 株式100%(指数の下落率) 「100-年齢」の暦年リターン(債券込み)
ブラックマンデー(1987年)27歳73%約-14.9%-20.4%1987年:約+2.9%
ITバブル崩壊(2000〜2002年)40〜42歳60〜58%約-29.4%-49%2000〜02年の累計:約-9.7%
リーマンショック(2007〜2009年)47〜49歳53〜51%約-30.1%-56.8%2008年:約-9.4%
コロナショック(2020年)60歳40%約-13.6%-34%2020年:約+14.0%
株式・債券同時安(2022年)62歳38%約-6.9%(債券の下落は含まない)約-18%(株式のみ)2022年:約-17.9%

「株式部分の下落の目安」は、株式比率に指数の高値から安値までの下落率を掛けた単純な目安で、債券の損益は含みません。「暦年リターン」は年次データから計算した、その年1年間のポートフォリオ全体のリターンで、測る期間が異なるため単純には比較できません。

この表から、以下のことが分かります。

退職直前の暴落リスクは、債券が下がらない局面では軽減される

60歳(退職5年前)でコロナショックが発生した場合を例にすると、株式100%なら-34%の下落(1,000万円の資産が660万円に)だったところ、株式比率40%の「100-年齢」ルールでは、株式部分の下落は約-13.6%(目安。1,000万円が864万円相当)にとどまる計算です。債券が値上がりする局面では、このような効果が期待できます。

退職直前に資産が3分の2に減るのと、約86%にとどまるのとでは、その後の取り崩し計画に大きな影響が出ます。「下落時の損失を年齢に応じて抑える」という点が、「100-年齢」ルールの狙いです。ただし、2022年のように債券も同時に下落する局面では、この効果は限定的でした。

「100-年齢」vs「120-年齢」vs「株式100%」:3パターンの成績比較

近年では、平均寿命の延びや低金利環境を踏まえ、より積極的な「120-年齢」ルール(25歳なら株式95%、65歳なら株式55%)も提唱されています。ここでは、「100-年齢」「120-年齢」「株式100%」の3パターンを比較します。

3パターンの最終資産額・最大ドローダウン比較

パターン 最終資産額(概算) 最大ドローダウン(年末基準) 最大ドローダウン発生時
①「100-年齢」ルール約9,130万円約-17.9%2022年(62歳)
②「120-年齢」ルール約1億2,750万円約-23.9%ITバブル崩壊(2002年・42歳)
③株式100%約2億800万円約-37.4%ITバブル崩壊(2000〜2002年)

「120-年齢」ルールは、「100-年齢」ルールと株式100%の中間的な位置づけです。最終資産額は約1億2,750万円と「100-年齢」より約3,600万円多い一方、最大ドローダウン(年末基準)は約-23.9%と「100-年齢」の約-17.9%より6.0ポイント大きくなります。なお、年次データの年末値で測っているため、期間中の最大下落はこれより大きくなります。

どのルールを選ぶべきか

選択の基準は、あなたのリスク許容度と退職後の取り崩し計画によります。

💡 ポイント:「120-年齢」ルールは、平均寿命が延びた現在に合わせた、より株式比率の高い調整版です。退職後の期間が長くなることを踏まえ、株式比率を高めに保つという考え方です。

長寿化・低金利時代における「100-年齢」ルールの限界

「100-年齢」ルールは古くからある経験則ですが、前提となる条件はいくつか変化しています。

①平均寿命の延び

日本の平均寿命は1996年には男女平均で約80歳でしたが、直近(令和7年簡易生命表)では約84歳まで延びています。65歳で退職しても、その後20年以上生きる前提で資産を運用・取り崩す必要があります。

「100-年齢」ルールでは65歳時点で株式比率35%・債券65%となりますが、退職後20年間を債券中心のポートフォリオで過ごすと、インフレに資産が追いつかないリスクがあります。特に2021年以降、米国ではインフレ率が一時大きく上昇しており、債券だけでは実質的な購買力が目減りする可能性があります。

②低金利環境の長期化

1996年当時、米国長期国債の利回りは6〜7%程度ありましたが、2010年代以降は長らく2〜3%台で推移し、2020年には一時1%を下回りました。2022年以降は利上げで利回りが上昇し、直近は4〜5%前後で推移しています。今後の水準は不確実です。

債券比率を高めることには値動きを抑える効果がある一方、リターンの押し下げ効果も大きくなります。実際、今回の検証では「100-年齢」ルールの最終資産額は株式100%の約44%にとどまりました。

③2022年の株式・債券同時安という新しいリスク

従来、株式と債券は逆相関の関係にあり、株式が下落すると債券が上昇することで損失を緩和する効果がありました。しかし、2022年には株式と債券が同時に下落し、60/40ポートフォリオは年間で約-18%の損失を記録しました(Damodaranの年次データ)。株式(約-18.0%)も米10年国債(約-17.8%)もほぼ同じ幅で下落しました。

この現象は、中央銀行の利上げが債券価格を押し下げると同時に、株式市場にも下落圧力をかけたことが原因です。今後も金融政策の転換期には同様のリスクがあり、「債券を持てば安全」という前提が必ずしも成立しないことが明らかになりました。

⚠️ 注意:2022年の株式・債券同時安は、「100-年齢」ルールの前提(株式と債券の逆相関)が崩れた事例です。今後、同様の局面が発生する可能性を踏まえ、債券以外の分散先(金・不動産・現金)も検討する必要があります。

年齢別の株式比率の考え方:「100-年齢」を調整する場合の例

今回の検証結果を踏まえ、「100-年齢」を調整する場合の考え方の例を示します。特定の配分を推奨するものではありません。

年齢別の株式比率の考え方の例(編集部の整理)

年齢 従来(100-年齢) 調整する場合の例 理由
20〜30代 70〜80% 80〜100% 回復期間が十分にあり、リターン最大化を優先する考え方がある
40代 55〜65% 65〜75% 長寿化を踏まえ、従来より積極的な配分を検討する余地がある
50代前半 45〜50% 55〜65% 退職まで10〜15年あれば回復を待てる可能性がある
50代後半〜60代前半 35〜45% 40〜50% 退職直前はリスク抑制が重要だが、退職後20年を見据え債券偏重は避ける
60代後半〜70代 25〜35% 30〜40% 取り崩し中でもインフレ対策として株式を一定比率保持

この例は、「120-年齢」ルールに近い水準です。ただし、以下の点に注意してください。

モデルケース(仮想シミュレーション)

⚠️ 以下のケースはすべて仮想の人物設定によるシミュレーションです。実在の人物・事例ではありません。数値は概算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。

【ケース①】Aさん(30歳・会社員・年収500万円)

【ケース②】Bさん(55歳・会社員・退職10年前)

【ケース③】Cさん(65歳・退職済み・取り崩し開始)

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年齢・資産額・積立額を入力するだけで、最適な株式・債券比率と将来の資産額をシミュレーションできます。

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まとめ:あなたの年齢で取るべきポートフォリオ戦略

今回の検証で明らかになったのは、「100-年齢」ルールは最終資産額では株式100%や60/40固定にも劣る一方、値動き(最大ドローダウン)は小さく抑えられたという点です。ただし、2022年のように株式と債券が同時に下がる局面では、下落を抑えきれませんでした。

検証結果のまとめ

年齢別の考え方の例

最後に:ルールは目安、定期的な見直しが重要

「100-年齢」ルールはあくまで目安であり、あなたの状況に応じた調整が必要です。以下のタイミングで定期的に見直しましょう。

今回の検証が、あなたの資産配分戦略を見直すきっかけになれば幸いです。

2026年10月27日の訂正:バックテストをDamodaran(NYU Stern)の年次データ(S&P500配当込み、米10年国債)で、記事の前提どおり(1985〜2024年・月3万円積立・毎年リバランス)に再計算し、最終資産額・年率・最大ドローダウン・グラフを差し替えました(「100-年齢」は9,130万円、60/40固定を下回る結果です)。暴落時の損失の表は、債券込みの暦年リターンを併記する形に改め、2022年に債券も下落して効果が限定的だった点を明記しました。ルールの起源、平均寿命、根拠のない「2026年版推奨」の配分と試算額を修正・削除しています。

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免責事項

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資推奨や売買の勧誘を目的とするものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。本記事の情報は2026年9月11日時点のものであり、将来予告なく変更される場合があります。過去の運用成績は将来の成果を保証するものではありません。記事中のシミュレーション結果はすべて概算であり、実際の運用成果とは異なる場合があります。投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。詳細は各金融機関の最新情報をご確認ください。