2026年10月改正が同時に来る:ふるさと納税・インボイス2割特例終了・106万円の壁、あと6日で確認すべきことガイド
1. 対象者別チェックリスト:あなたが確認すべき項目
まず、自分がどの制度変更の影響を受けるかを確認する。以下のチェックリストで該当する項目があれば、その後の詳細解説セクションを読んで対応を検討する。
✅ ふるさと納税利用者(会社員・個人事業主)
- 今年(令和8年)中に寄附を予定している
- お気に入りの返礼品が10月以降も同じ条件で提供されるか不明
- 年間の控除上限額を把握していない
- ワンストップ特例を利用する予定(申請期限の確認が必要)
✅ インボイス登録済みの個人事業主
- 免税事業者からインボイス登録で課税事業者になった
- 令和8年分まで2割特例を使っている
- 令和9年分以降、3割特例と簡易課税のどちらが有利か判断していない
- 業種のみなし仕入率を把握していない
✅ インボイス登録済みの小規模法人経営者
- 法人で2割特例を使っている(3月決算・9月決算など)
- 2割特例終了後は一般課税か簡易課税を選択する必要がある
- 簡易課税制度選択届出書の提出期限を把握していない
✅ パート・アルバイトで働く人
- 週20時間以上働いている(または働く予定)
- 雇用期間が2ヶ月超見込み
- 学生ではない
- 現在、月収8.8万円未満で社会保険に未加入
該当する項目がなければ、今回の制度変更の直接的な影響は受けない。ただし、最低賃金の引き上げ(全国加重平均1,177円、10月〜12月発効)は、時給で働く人全般に影響する。
2. ふるさと納税の指定基準厳格化(令和8年10月1日施行)
2-1. 改正の概要:「募集費用5割以下」から「活用可能額6割以上」へ
令和8年総務省告示第145号により、ふるさと納税の指定基準が変更される。現行の「募集費用総額を寄附額の5割以下」という基準は削除され、「寄附金活用可能額(寄附金総額から募集費用を引いた額)を寄附金総額の60%以上」とする基準に変わる。
ただし段階適用で、以下のように移行する:
| 指定年度 | 活用可能額の下限(自治体の手元に残る割合) | 募集費用の実質的上限(参考値) |
|---|---|---|
| 令和8年指定 | 52.5%以上 | 47.5%以下 |
| 令和9年指定 | 55%以上 | 45%以下 |
| 令和10年指定 | 57.5%以上 | 42.5%以下 |
| 令和11年指定 | 60%以上 | 40%以下 |
「52.5%→60%」は募集費用の上限ではなく、自治体の手元に残る割合の下限が段階的に上がるという意味。募集費用の上限に直すと、47.5%以下から最終的に40%以下に下がる。各段階が実際にどの指定対象期間に対応するかは、告示本文では詳細未確認のため断定しない。
2-2. その他の厳格化ポイント
- 地場産品基準の運用厳格化:区域内工程で「価値の過半」が生じたことを、価格ベースの算出値0.5超でメーカーが証明し、ポータルサイトに明記する必要がある
- 寄附金の使途公表の義務化:自治体は寄附金の使途を公表しなければならない
- 1支払先あたり100万円以上の募集費用の公表義務
- 指定取消しの遡及期間が最大5年前まで延長:過去に遡って指定が取り消される可能性がある
なお、ポイント付与ポータルでの募集禁止は2025年10月1日に施行済みで、今回の新規ではない。
2-3. 寄附者への影響は?(未確認の点を正直に書く)
総務省資料には、寄附者への直接的な影響についての記述がない。二次情報として「必要寄附額の上昇・内容量の減少・取扱終了が起こりうる」と言われているが、実際の値上げ件数や駆け込み需要の規模は未確認である。
一部の自治体・返礼品提供事業者が、10月1日以降の返礼品内容・必要寄附額を変更する可能性はあるが、全体のどの程度が影響を受けるかは不明。
2-4. 「10月前に駆け込むべき」か?
「10月前に駆け込むべき」とは断定しない。判断材料を整理する。
| 判断材料 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 返礼品の変更可能性 | 利用しているポータルサイト・自治体のお知らせを確認。10月以降の返礼品内容が変更されるか |
| 年間の控除上限額 | 自分の年収・家族構成から、令和8年分の控除上限額を計算。上限を超えて寄附すると自己負担が増える |
| ワンストップ特例の期限 | ワンストップ特例を利用する場合、申請書の提出期限は令和9年1月10日(必着)。10月前に寄附しても、申請を忘れると確定申告が必要 |
| 特例控除額の上限(令和9年分から) | 給与収入1億円相当の人は、令和9年寄附分から特例控除額の定額上限193万円が適用される(今年は無関係) |
自分の年間控除上限額を超えて駆け込み寄附をすると、自己負担が増える。まず控除上限額を確認し、その範囲内で判断する。
3. インボイス2割特例の終了と3割特例の新設
3-1. 2割特例の終了時期(個人・法人で異なる)
インボイス2割特例は、令和8年9月30日までの日を含む課税期間で終了する。
| 事業形態 | 2割特例が使える最後の期間 | 申告時期 |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 令和8年分(1月1日〜12月31日) | 令和9年3月(確定申告) |
| 法人(3月決算) | 令和9年3月期(令和8年4月〜令和9年3月) | 令和9年5月 |
| 法人(9月決算) | 令和8年9月期(令和7年10月〜令和8年9月) | 令和8年11月 |
| 法人(12月決算) | 令和8年12月期(令和8年1月〜12月) | 令和9年2月 |
法人は「令和8年9月30日を含む事業年度」が最後なので、決算月によって異なる。3月決算なら令和9年3月期まで、9月決算なら令和8年9月期までとなる。
3-2. 3割特例の新設(個人事業者の令和9年分・令和10年分のみ)
2割特例終了後、新たに3割特例が設けられる。ただし対象は限定的。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 免税事業者がインボイス登録を機に課税事業者になった個人事業者 |
| 対象期間 | 令和9年分・令和10年分のみ(2年間限定) |
| 納付税額 | 売上税額の30%(みなし仕入率70%相当) |
| 要件 | 基準期間(2年前)と特定期間(前年1〜6月)の課税売上高がいずれも1,000万円以下 |
| 事前届出 | 不要(確定申告書に適用を受ける旨を付記) |
法人には3割特例の適用がない。2割特例終了後は、一般課税か簡易課税での申告になる。
3-3. 3割特例と簡易課税の比較(業種別の有利判定)
3割特例の納付税額は売上税額の30%。これは簡易課税のみなし仕入率70%相当に当たる。業種によって、簡易課税と3割特例のどちらが有利かが変わる。
| 業種 | 簡易課税のみなし仕入率 | 3割特例との比較 | 有利な方 |
|---|---|---|---|
| 卸売業 | 90% | 納付は売上税額の10% | 簡易課税が有利 |
| 小売業 | 80% | 納付は売上税額の20% | 簡易課税が有利 |
| 製造業等 | 70% | 納付は売上税額の30% | 同額 |
| その他の事業 | 60% | 納付は売上税額の40% | 3割特例が有利 |
| サービス業等 | 50% | 納付は売上税額の50% | 3割特例が有利 |
| 不動産業 | 40% | 納付は売上税額の60% | 3割特例が有利 |
3-4. 簡易課税制度選択届出書の提出期限特例
通常、簡易課税制度選択届出書は適用課税期間の初日の前日までに提出する必要がある。しかし、2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間なら、その申告期限までの提出で足りる特例がある(翌課税期間が令和8年10月1日以後に終了する場合に適用)。
国税庁の資料に示された例では、個人の令和11年分(3割特例の適用を受けた令和10年分の翌課税期間)から簡易課税を選ぶ場合、届出書の提出期限は令和12年4月1日までとなる。自分のケースの期限は、国税庁の資料や税務署で確認してほしい。
簡易課税を選ぶと原則2年間継続適用で、基準期間の課税売上高5,000万円以下が要件となる。
3-5. その他の同時期の変更:免税事業者からの仕入れの経過措置見直し
別件として、免税事業者からの仕入れの仕入税額控除の経過措置が令和8年10月から見直される。
| 期間 | 控除率 | 控除の上限 |
|---|---|---|
| 令和8年10月〜 | 70% | 1事業者からの仕入れ1億円まで |
| 令和10年10月〜 | 50% | 同上 |
| 令和12年10月〜 | 30% | 同上 |
| 令和13年10月〜 | 0% | — |
免税事業者からの仕入れが多い事業者(特に建設業・製造業など)は、仕入税額控除が段階的に減る点に留意する。
3-6. あと6日で確認すべきこと(インボイス関連)
- 自分の事業年度・課税期間を確認し、2割特例が使える最後の期間を把握する
- 業種のみなし仕入率を確認し、令和9年分以降は3割特例と簡易課税のどちらが有利か試算する
- 簡易課税を選ぶ場合、提出期限特例が使えるか確認する
- 不明点は税理士・税務署に相談する(10月1日以降に駆け込んでも間に合わない)
4. 106万円の壁撤廃(週20時間の壁へ)
106万円の壁(賃金要件・月額8.8万円以上)は令和8年10月に撤廃される。詳細は既掲載の記事315「106万円の壁撤廃で『週20時間の壁』へ2026年10月」で解説済みのため、ここでは要点のみ触れる。
4-1. 改正の概要
2026年10月からは、「週20時間以上働いている」「雇用期間が2ヶ月超見込み」「学生でない」という条件を満たせば、収入額にかかわらず社会保険への加入が必要になる。全国約200万人が新たに加入対象となる。
4-2. あと6日で確認すべきこと(パート・アルバイト)
- 自分の週の労働時間を確認する(20時間以上か)
- 雇用契約書で雇用期間を確認する(2ヶ月超見込みか)
- 10月以降の手取り額がどう変わるか試算する(厚生年金・健康保険料の負担増)
- 勤務先の人事・総務に社会保険加入の手続きを確認する
企業規模要件(従業員51人以上)は令和9年10月から段階的に撤廃予定で、最終的には企業規模にかかわらず全ての適用事業所で加入義務が生じる。
5. その他の同時期の制度変更(最低賃金・加熱式たばこ)
5-1. 地域別最低賃金の引き上げ(10月〜12月発効)
厚生労働省の目安答申(令和8年7月28日)によると、全国加重平均は1,176円・引上げ額55円(4.9%)。二次情報では確定額の加重平均が1,177円とされている(確定額の一次資料は未確認)。
発効日は都道府県ごとに異なり、10月1日から12月2日まで幅がある。時給で働く人は、自分の都道府県の発効日と新しい最低賃金額を確認する。
5-2. 加熱式たばこの新しい換算方式(令和8年4月・10月の2段階導入)
国税庁により、加熱式たばこの新しい換算方式が令和8年4月と10月の2段階で導入される。詳細は国税庁の告示を参照。
6. まとめ:10月1日までに確認すべきこと
2026年10月1日前後に3つの制度変更が重なる。対象者別に、あと6日で確認すべきことを再整理する。
| 対象者 | 確認すべきこと | 相談先 |
|---|---|---|
| ふるさと納税利用者 | 年間控除上限額、返礼品の変更有無、ワンストップ特例の期限 | ポータルサイト、市区町村 |
| 個人事業主(インボイス) | 2割特例の最終期間、3割特例vs簡易課税の試算、届出書の提出期限 | 税理士、税務署 |
| 法人経営者(インボイス) | 2割特例の最終事業年度、簡易課税の選択、届出書の提出 | 税理士、税務署 |
| パート・アルバイト | 週労働時間、雇用期間、10月以降の手取り試算、社会保険加入手続き | 勤務先の人事・総務 |
未確認の点は未確認と明記した。特定の行動を断定的に推奨することはしない。自分の状況に合わせて、税理士・税務署・勤務先に確認することを推奨する。
免責事項
本記事は2026年9月24日時点の総務省・国税庁・厚生労働省の公開情報に基づいて作成されています。制度の詳細・適用要件・提出期限等は、必ず各省庁の公式サイト、税理士、税務署、社会保険労務士にご確認ください。本記事の情報を利用した結果生じた損害について、マネトモは一切の責任を負いません。
ふるさと納税の寄附額・返礼品の変更可能性、インボイス制度の適用判定、社会保険加入の要件等は個別の状況によって異なります。特に税務・社会保険の判断は専門家への相談を推奨します。