資産形成・積立術

2027年1月、つみたて投資枠で債券ファンドが買える:何が変わり何が変わらないか、バランス型との使い分けを整理する【令和8年度税制改正】

公開日:2026年10月9日 情報時点:2026年10月 マネトモ編集部

2027年1月1日の施行に向けて、つみたて投資枠の対象に債券中心のファンドが加わります。ただし、変わるのは「選べる商品の幅」であって、債券が増えれば値動きの心配がなくなるわけではありません。2022年には金利上昇で株式と債券が同時に下がり、バランス型も値下がりしました。この記事では、施行前の今だからこそ確認できる「変わる点・変わらない点」を一次情報で整理し、株債配分を変えたときの差を積立試算で比べます。今の積立設定を変えるかどうかを、ご自身の年齢と目的で考えるための材料にしてください。

結論:2027年1月から変わる点・変わらない点

先に全体像を整理します。「債券ファンドが買えるようになる」という見出しだけが先行しがちですが、実際に変わる範囲は限られています。

区分内容
変わる点指定指数に連動しない公募株式投信の主たる投資対象の要件が、「主に株式」から「主に株式又は公社債」に改められる(2027年1月1日施行)
変わらない点年間投資枠(つみたて投資枠120万円/成長投資枠240万円)、生涯の非課税保有限度額(1,800万円、うち成長投資枠1,200万円)、非課税保有期間が無期限であること、元本保証ではないこと
変わらない点NISA口座内の損失は、他の口座の利益と損益通算できず、繰越控除もできない
変わらない点成長投資枠では、約款に株式に投資できる旨がある債券型の公募株式投信を、すでに購入できる
現時点で未確認告示上の「50%超」の数値基準の定義、信託報酬など商品性要件の債券型への適用、対象となる具体的なファンド名
本記事の確認範囲について

金融庁の税制改正資料と告示の内容は、公表ページの要約と複数の報道・解説の一致で確認しました。告示本文での「50%超」の定義や、債券型に対する信託報酬等の要件は、本記事の執筆時点で原文を確認できていません。該当箇所は「〜とされている」と表記しています。実際の購入前には、金融庁の告示原文と各金融機関の発表で最新の内容をご確認ください。

この記事が既存の債券入門記事と違うのは、「債券とは何か」ではなく「制度が変わる今、株債配分をどう設計するか」に絞っている点です。債券の基礎は必要な範囲にとどめ、判断に使う材料を中心に進めます。

令和8年度税制改正の内容を一次情報で確認する

変更の中身:「主に株式」から「主に株式又は公社債」へ

金融庁がまとめた令和8年度税制改正の主要項目(2025年12月26日の閣議決定)では、つみたて投資枠の対象となる、指定指数に連動しない公募株式投資信託について、主たる投資対象の要件が「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」に改められました。改正の趣旨は、リスク許容度が高くない若年層・高齢層が投資の第一歩を踏み出せるよう、債券中心またはバランス型の投信の選択肢を充実させることとされています。

従来は株式の割合が50%超であることが条件とされてきました。改正後は、複数の解説が「株式と公社債を合わせて50%超」と整理しています。ここで注意したいのは、「債券だけで50%超」と読めるかどうかは、告示本文の定義を確認するまで断定できないという点です。公社債の範囲や、REIT・現金・デリバティブの扱いも、原文で確認する必要があります。

成立から施行までの流れ

時期出来事
2025年12月26日令和8年度税制改正の大綱が閣議決定
2026年3月31日税制改正法(所得税法等の一部を改正する法律)が成立。同日、金融庁が告示「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」を一部改正(公布)
2026年4月1日告示は「令和8年4月1日から適用」と報じられている(制度施行日との関係は未確認)
2027年1月1日NISA拡充部分(債券対応、0〜17歳のつみたて投資枠)の施行

金融庁の告示改正は、①指定指数の追加、②指定指数に連動しない公募株式投信の主たる投資対象を「主に株式又は公社債」に変更、③定期売却サービスに限り通常必要な手数料の徴収を可能とする、という3点です。③は、つみたて枠の販売手数料ゼロの原則は維持しつつ、取り崩し期の定期売却サービスだけを例外とするもので、取り崩し期の利用を意識した措置とみられますが、金融庁の趣旨説明そのものは原文で確認できていません。

同じ改正の他の項目

これまで何が買えず、何が買えたのか

「債券ファンドが解禁される」という言い方は、少し誤解を招きます。実際には、NISA全体で債券ファンドが買えなかったわけではありません。

これらの整理は、証券会社の解説やFAQで広く説明されている内容に基づいており、金融庁の一次資料での直接確認はできていません。ご自身の口座で買えるかどうかは、各金融機関の商品ページでご確認ください。

なお、既存のバランス型(資産を複数に分散して持つタイプ)は、これまでもつみたて枠の対象になっているものがあります。どの要件で対象になっているかの詳細は、本記事では確認できていません。重要なのは、今回の変更が「新しい資産クラスの追加」というより、「株式の比率が低い(債券の比率が高い)商品を、つみたて枠で選べるようになること」だという点です。

施行日と「買える日」は別です

2027年1月1日は制度の施行日です。個別の債券ファンドが実際に対象商品になる時期は、運用会社の届出や指定の手続き次第です。現時点で、対象となるファンドの一覧は確認できていません。「株式20:債券80」のような守り型ファンドが登場するという観測は解説者の予想にすぎず、登場を前提にした判断は避けたいところです。

債券ファンドの基本:値動きと金利の関係

金利が上がると、債券の価格は下がる

債券は、一般に金利が上昇すると既存の債券の価格が下がります。新しく発行される債券のほうが利回りが高くなるため、古い債券の魅力が相対的に下がるからです。債券ファンドは多数の債券をまとめて持っており、基準価額はこの価格変動の影響を受けます。

また、個別の債券と違って、債券ファンドには満期がありません。個別債券なら満期まで持てば額面で償還されますが、ファンドは保有債券を入れ替え続けるため、「持っていれば元に戻る」という前提は置けません。

2022年の実例:株式と債券が同時に下がった

「債券は株式の逆に動くから安心」という見方は、2022年に崩れました。日興アセットマネジメントの市況解説によると、2022年の世界債券の騰落率は▲18.3%で、過去30年で最大の下落でした(指数名・通貨基準・ヘッジの有無は原文未確認のため、数字は参考値としてご覧ください)。米FRBは2022年3月に利上げを開始し、同年末にはフェデラルファンド金利が4.5%に達しています。この局面では株式と債券が同時に下落し、多くのバランスファンドがマイナスのリターンになったと、証券会社の解説で説明されています。

2026年9月には、日銀・FRBがともに利上げを行ったと報じられており、国内外とも「利上げ局面」にあります。金利が上がりやすい環境で債券を持つことは、債券価格の下落リスクと隣り合わせです。債券を増やす場合も、この点を前提にしておく必要があります。

公的年金の運用では、どう考えられているか

参考として、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオ(2025年4月適用)は、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産で構成され、実質的な運用利回り目標1.9%、リスク(標準偏差)10.34%とされています(パターンA)。株式と債券を組み合わせても、リスクがゼロにはならないことを示す、公的な参照値です。資産配分の比率は、検索結果では確認できていません。

つみたて枠で債券を持つメリットとデメリット

観点メリットデメリット・注意点
値動き株式100%と比べて、基準価額の振れ幅が小さくなる傾向がある金利上昇局面では債券自体が下落する。2022年のように株式と同時に下がることもある
リターン値動きを抑えながら、非課税で積み立てられる株式比率が下がる分、長期の期待リターンも下がる傾向がある(次章の試算を参照)
税運用益・分配金が非課税(NISA外は20.315%の申告分離課税)債券ファンドの値下がりによる損失は、他口座の利益と損益通算できない
為替・物価国内債中心なら為替リスクは小さい外国債は為替変動の影響を受ける(ヘッジの有無で異なる)。インフレ局面では債券の利回りが物価に追いつかないことがある
心理面値動きが小さいと、積立を続けやすい人もいる「安全」と思い込み、リスクを見落としやすい

とくに見落としやすいのが、損益通算です。国税庁のタックスアンサーによると、NISA口座内の上場株式等・公募株式投信の売却損は「ないものとみなされる」ため、特定口座・一般口座の配当や譲渡益との損益通算も、翌年以降への繰越控除もできません。課税口座で債券ファンドを持つ場合とは、損失が出たときの扱いが違う点を覚えておきたいところです。

バランス型と債券型の使い分け:判断軸

「どちらが正解か」ではなく、「どの局面で、何を重視するか」で考えるのが現実的です。以下は判断軸の例であり、特定の配分をおすすめするものではありません。

状況考えられる方向性確認したい点
積立期間が20年以上ある株式比率の高い商品の比重を残し、値動きに耐えられる範囲で債券を足す、という考え方がある相場が下がった時に積立を止めずにいられるか
取り崩しが近い(5〜10年以内)値動きの大きい資産の比率を下げ、債券やバランス型の比率を上げる、という考え方がある取り崩し開始時に下落局面だった場合の影響
値動きが気になって積立を続けにくい債券比率の高い商品を一部に入れる選択肢が出てくるリターンが下がる分を許容できるか
すでにバランス型を保有している債券型を足す前に、いまの商品の株債比率を確認する二重に債券を持っていないか

バランス型は、複数の資産をあらかじめ組み合わせて自動で配分を保つ点が特徴です。債券型は、自分で株式型と組み合わせて比率を決める余地が広がります。手間をかけたくなければバランス型、自分で比率を調整したければ株式型+債券型、という整理もできますが、どちらが向くかは人によって異なります。

債券比率で何が変わるか:積立試算での比較

株債配分の違いが、長期の積立でどれだけ差になるかを、コードで計算した試算で確認します。前提を揃え、年率だけを変えた3つのケースです。

試算の見方(必ずお読みください)

年率5%・3.5%・2%は、株式100%・株債50/50・債券中心の仮の想定値であり、将来の利回りを予測・保証するものではありません。実際の運用は年ごとに上下し、年率が一定ということはありません。以下はモデルケース(仮想シミュレーション)です。

ケース1:株式100%想定(年率5%)

前提条件:毎月3.0万円を月末に積立、年率5.00%(月次複利)、信託報酬等0.100%を控除、税は考慮しない。

積立期間元本最終資産額運用益
10年360万円461万円101万円
20年720万円1,204万円484万円
30年1,080万円2,404万円1,324万円

ケース2:株債50/50想定(年率3.5%)

前提条件:毎月3.0万円を月末に積立、年率3.50%(月次複利)、信託報酬等0.100%を控除、税は考慮しない。

積立期間元本最終資産額運用益
10年360万円427万円67万円
20年720万円1,023万円303万円
30年1,080万円1,856万円776万円

ケース3:債券中心想定(年率2%)

前提条件:毎月3.0万円を月末に積立、年率2.00%(月次複利)、信託報酬等0.100%を控除、税は考慮しない。

積立期間元本最終資産額運用益
10年360万円396万円36万円
20年720万円874万円154万円
30年1,080万円1,450万円370万円

3ケースの推移を並べて見る

毎月3万円を積み立てた場合の最終資産額(万円)。上の3つの表と同じ値。年率は仮の想定値。

試算から読み取れること

期間ごとの差額を、単純な引き算で確認します(株式100%想定の最終資産額から、各ケースの最終資産額を引いた値)。

積立期間ケース1 − ケース2ケース1 − ケース3
10年461 − 427 = 34万円461 − 396 = 65万円
20年1,204 − 1,023 = 181万円1,204 − 874 = 330万円
30年2,404 − 1,856 = 548万円2,404 − 1,450 = 954万円

10年では数十万円の差だったものが、30年では500万円〜950万円ほどに開きます。年率の差が小さくても、期間が長いほど複利で積み上がることがわかります。債券比率を高めることは、「値動きの抑制」と引き換えに、長期の資産額が小さくなる可能性を受け入れることでもあります。

ただし、この試算は年率が一定という単純化をしており、値動きの大きさ(下がる局面での落ち込み)は表現していません。値動きの差を考えるには、保有期間別の過去データも参考になります。

保有期間別の過去データ(参考)

金融庁の資料(平成29年)には、国内外の株式・債券などへ国際分散して毎月積み立てた場合の、保有期間別の成績が示されています(1985年以降の各年に積立を開始した例)。

保有期間が長くなると、結果のばらつきが小さくなる傾向が読み取れます。ただし、このデータは1985年から始まる古い基準期間で、最新の期間は含まれていません。現在の金利水準も当時と違うため、将来を保証するものではなく、「期間が長いほど結果が収れんする傾向がある」という考え方の例として参考にしてください。債券比率を高めた商品での同様のデータは、本記事では確認できていません。

すでに積立中の人は何をすべきか

「乗り換えるべき」「何もしなくてよい」とは、一律には言えません。次の順に、ご自身の状況を確認してみてください。

STEP1:いまの商品の株債比率を確認する
すでにバランス型なら、株式と債券の比率が目論見書や月次レポートに書かれています。株式100%型なら、債券は含まれていません。
STEP2:値動きの許容度と時期を確認する
下落局面で積立を続けられるか。資金を使う時期は何年後か。取り崩しが近いほど、値動きの影響を受けやすくなります。
STEP3:選択肢を整理する
①何もしない(いまの配分を維持)、②今後の積立の一部だけを債券型に振り向ける、③保有分を売却して乗り換える。この順に、手間とリスクが増えます。
STEP4:2027年の対象商品が出そろってから判断する
施行前の現時点では、対象となる債券ファンドが確認できません。設定を変えるのは、具体的な商品の信託報酬・為替ヘッジ・投資対象が確認できてからでも遅くありません。

③の売却を伴う乗り換えには注意が必要です。NISA口座内で売却すると、値上がり益は非課税ですが、売却損は損益通算できません。売却のタイミングによっては、下落局面で損失を確定させてしまうこともあります。なお、手数料や非課税枠の扱いは金融機関ごとに異なる場合があるため、実行前にご確認ください。

注意点:信託報酬・為替・成長投資枠との役割分担

なお、個別のファンド名や運用会社は、本記事では挙げません。商品の比較は、ご自身で目論見書などの公式資料を確認して行ってください。

まとめ:自分で選ぶためのチェックリスト

2027年1月の変更は、つみたて枠で「株式の比率が低い商品」を選べるようになるという、選択肢の拡大です。債券が増えると値動きが小さくなる傾向はありますが、金利が上がる局面では債券も下がります。リターンが下がる可能性と、NISA内では損益通算できない点も含めて、ご自身の年齢・目的・リスク許容度で考えていきましょう。

よくある質問

Q1. 債券ファンドは、いつからつみたて投資枠で買えますか?

制度の施行は2027年1月1日です。ただし、個別のファンドが対象商品になる時期は、運用会社の届出や指定の手続き次第で、現時点では対象商品の一覧を確認できていません。各金融機関の発表をご確認ください。

Q2. 既存のNISA口座のまま買えますか?

新しく口座を作り直す必要があるかどうかは、本記事では確認できていません。金融機関によって取り扱いが異なる可能性があるため、利用中の金融機関にご確認ください。なお、成長投資枠で債券型の公募株式投信を買うことは、現在でも可能とされています。

Q3. 債券ファンドだけを積み立てて大丈夫ですか?

債券だけを積み立てても、金利上昇局面での価格下落、インフレ、為替(外国債の場合)といったリスクは残ります。また、試算で見たとおり、長期のリターンは株式を含む場合より小さくなる傾向があります。「大丈夫かどうか」は、目的と時期、許容できる値動きによって変わります。

積立額や期間を変えて試算してみませんか

本記事の試算は一つの前提による例です。ご自身の積立額・利回り・期間で、資産額の変化を確かめられます。

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参考にした一次情報

免責事項
本記事は2026年10月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。NISAを含む投資には元本割れのリスクがあります。記事内の試算はモデルケース(仮想シミュレーション)であり、将来の運用成果を保証するものではありません。制度の詳細は施行前に変更される可能性があり、最新情報は金融庁・各金融機関でご確認ください。税務に関する個別のご相談は、税理士などの専門家にお問い合わせください。