資産形成・積立術

28歳で資産2億円はどれほど難しいのか。その2億円が複利でどこまで増え、後から追いかける人がなかなか追い付けない理由【2026年10月】

公開日:2026年10月26日 カテゴリ:資産形成・積立術 読了目安:約15分
動画3分でわかる:28歳で資産2億円はどれほど難しいか、複利で増える2億円と追い付けない理由【概要動画】

約3分・音声と字幕つき。内容は2026年10月26日時点で、本文の要点です。事例の資産額などは本人の発言の報道に基づきます。シミュレーションは本記事のコード計算による仮想モデルケース(想定)で、信託報酬0.05%を引いた年4.95%、税なしで計算しており、将来の予測ではありません。20代の金融資産はJ-FLEC、平均給与は国税庁の公表値です。
音声:VOICEVOX:玄野武宏(CV:ガロ)

YouTuberとして知られた「こーくん」が「28歳で資産約2億円」と話したと報じられました。この記事は、その金額の評価ではなく、数字として何が起きているのかを確かめます。①20代で2億円を築くのはどれほど難しいのか。②その2億円が複利でどこまで増えるのか。③後ろから追いかける人は、どれだけの積立をすれば追い付けるのか。結論を先に言うと、複利は「時間」が味方になるほど強く、後から始める側の必要額は想像より急に大きくなります。

目次
  1. 28歳で2億円は、どれほど難しいのか
  2. 複利のすごさ:同じ月5万円でも、始める年齢でここまで違う
  3. その2億円は、複利でどこまで増えるのか
  4. 後ろから追いかける人は、追い付けるのか
  5. 数字を読むときの注意点
  6. まとめとFAQ
この記事の主な数字(仮定に基づくシミュレーションを含む)
37万円20代単身世帯の金融資産の中央値J-FLEC 2025年調査(平均は255万円)
月約240万円22歳から6年で2億円に届く積立額年4.95%・税なしの仮定
約9億3,857万円28歳の2億円が60歳で到達する額追加なし・年4.95%・税なし
月約102.5万円28歳ゼロ開始で、その9.4億円に並ぶ積立額仮定の概算
シミュレーションは仮定の数字であり、将来の予測ではありません。
出典: J-FLEC、本記事のコード計算

28歳で2億円は、どれほど難しいのか

2026年8月29日に公開されたYouTube動画で、元「なこなこカップル」のこーくん(報道時点で28歳)がFIRE(早期リタイア)を達成したと話したことを、オリコンやJ-CAST、ライブドアニュースなどが8月30日から9月1日にかけて報じました。資産は約2億円、うち約1億2000万円を米国社債中心に投資し、おおむね年6%の利回りで月60万円ほどが入る、と本人が話したと報じられています。資産額などは本人の発言として報じられたもので、公式な開示や内訳は確認できていません。本記事は、この金額がどれほど大きいのかを、数字で測ります。

20代の金融資産は、ふつうどれくらいか

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」2025年によると、20歳代の金融資産保有額(預貯金のほか保険・有価証券などを含み、保有していない世帯も含む)は、単身世帯で平均255万円、中央値37万円、二人以上世帯で平均525万円、中央値125万円と報じられています。平均は一部の高額な世帯に引き上げられるため、「真ん中」の感覚に近いのは中央値です。20代の単身世帯の中央値は37万円で、2億円はその約540倍にあたります。

逆算すると、毎月いくら積み立てれば2億円になるのか

「社会人になってから積み立てて28歳までに2億円」と仮定すると、毎月いくら必要になるのかを逆算します。年4.95%(実効年率5%から信託報酬0.05%を引いた値)で、税は考慮しません。

前提条件:毎月の積立額を月末に積立、年4.95%を月利に換算、税は考慮しない。2億円に到達する月額を逆算(コード計算)

積立開始期間必要な月額元本運用益
22歳(28歳まで)6年約240万円約1億7,276万円約2,724万円
20歳(28歳まで)8年約171万円約1億6,416万円約3,584万円
18歳(28歳まで)10年約130万円約1億5,588万円約4,412万円

仮想モデルケースの逆算(想定)。実在の人物の経緯とは無関係です。

22歳から始めても、年間で約2,879万円、月にして約240万円の積立が必要です。国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)で、給与所得者の平均給与は478万円です。2,879万円はその約6.0倍にあたります。また、2億円のうち運用益は約2,724万円(約13.6%)で、残りは元本です。つまり、28歳までの短い期間では、複利よりも「最初に積める元本の大きさ」が決め手になります。給与からの積立だけで届く水準ではなく、この金額をどう築いたのかは、報道から確認できていないため、本記事では扱いません。

複利のすごさ:同じ月5万円でも、始める年齢でここまで違う

ここからは、普通の人の積立でも見える「複利と時間」の力です。同じ月5万円・年4.95%で60歳まで積み立て、開始年齢だけを変えます。

前提条件(S1):毎月5.0万円を月末に積立、実効年率5.00%から信託報酬0.05%を差し引いた年4.95%を月利に換算、税は考慮しない

積立期間元本最終資産額運用益
15年900万円1,319万円419万円
25年1,500万円2,908万円1,408万円
32年1,920万円4,577万円2,657万円
38年2,280万円6,533万円4,253万円

シミュレーション結果(想定)。15年=45歳開始、25年=35歳開始、32年=28歳開始、38年=22歳開始(いずれも60歳時点)。仮想モデルケースです。

開始年齢別の60歳時点の資産額(月5万円・年5%の想定)
22歳開始(38年)元本2,280万円
6,533万円
28歳開始(32年)元本1,920万円
4,577万円
35歳開始(25年)元本1,500万円
2,908万円
45歳開始(15年)元本900万円
1,319万円
仮想モデルケース(実在の人物・事例ではありません)。税は考慮していません。
出典: 本記事のコード計算(sim_engine)

22歳開始と28歳開始の差は、始めた時期が6年違うだけです。6年分の元本の差は5万円×12か月×6年=360万円ですが、60歳時点の資産額の差は6,533万円−4,577万円=1,956万円になります。差のうち元本の差は360万円で、残りの1,596万円は、先に入れたお金が長く運用された「時間」の差です。22歳開始と45歳開始では、6,533万円−1,319万円=5,214万円の差があります。複利の力は、期間が長くなるほど大きくなります。

その2億円は、複利でどこまで増えるのか

では、28歳で2億円を持っている人が、その後は1円も積み立てず、年4.95%で運用を続けたらどうなるでしょうか。税と変動は考慮しない、単純な仮定です。

前提条件:28歳時点の2億円を年4.95%で複利運用、追加の積立なし、税は考慮しない(コード計算)

年齢経過年数資産額万円表記
28歳0年2億円20,000万円
40歳12年約3億5,712万円35,712万円
50歳22年約5億7,895万円57,895万円
60歳32年約9億3,857万円93,857万円

シミュレーション結果(想定)。仮想の計算であり、実在の人物の将来を示すものではありません。

28歳の2億円を年4.95%で運用した場合(追加なし・税なし)
28歳
20,000万円
40歳
35,712万円
50歳
57,895万円
60歳
93,857万円
仮想の計算(想定)。税・インフレ・運用の変動は考慮していません。
出典: 本記事のコード計算

2億円に年4.95%を掛けると、最初の1年だけで約990万円です。これは、さきほどの平均給与478万円の約2倍にあたります。何もせず運用を続けるだけで、32年後には約9億3,857万円、元の約4.7倍になります。複利は、元本が大きいほど、そして時間が長いほど、金額の伸びが急になります。

後ろから追いかける人は、追い付けるのか

この約9億3,857万円(60歳)に、同じ28歳で資産ゼロから積立を始めた人が並ぶには、毎月いくら必要でしょうか。同じ年4.95%、税なしで逆算しました。

前提条件:60歳時点の約9億3,857万円に並ぶ月額を逆算。年4.95%を月利に換算、毎月末に積立、税は考慮しない(コード計算)

積立開始(ゼロから)期間必要な月額元本
28歳32年約102.5万円約3億9,373万円
35歳25年約161.4万円約4億8,415万円
45歳15年約355.8万円約6億4,049万円

シミュレーション結果(想定)。仮想モデルケースの概算です。

28歳から始めても、月約102.5万円を32年間、休まず積み立てる必要があります。年間では約1,230万円で、平均給与478万円の約2.6倍です。35歳からなら月約161.4万円、45歳からなら月約355.8万円です。遅れが大きくなるほど、必要な月額は急に大きくなります。先行者との差は、積立額の差だけでは、なかなか埋まりません。これが、複利の「時間」の力です。

ふつうの積立で考えても、遅れは大きい

金額の水準を下げて、「22歳から月5万円」の6,533万円に並ぶ場合も確認します。必要な積立額の倍率は、28歳開始なら約1.43倍(月約7.1万円)、35歳開始なら約2.25倍(月約11.2万円)、45歳開始なら約4.95倍(月約24.8万円)です。月5万円の6,533万円という身近な水準でも、開始が13年遅れると積立額を約2.25倍、23年遅れると約4.95倍にする必要があります。

「追い付けない」と断定はできません。ただ、数字からは、遅れた側が追い付くには、積立額を大きく増やす必要があります。開始時期の差は、金額以上に大きく効きます。裏を返せば、今日が人生で最も早い開始日です。

数字を読むときの注意点

まとめとFAQ

この記事で数字から言えること

この記事は、FIREや早期リタイア、特定の運用商品を勧めるものではありません。数字は仮定であり、将来の結果を保証しません。ご自身の条件で試算することが出発点です。

よくある質問

Q1. 今から始めても遅いですか?
「遅い」と決めつける必要はありません。ただ、開始が遅れるほど、同じ金額に並ぶための月額は急に大きくなります。今日が最も早い開始日なので、無理のない金額で、まず始めることが大切です。
Q2. 利回りを7%にすれば、遅れを取り戻せますか?
利回りが高ければ結果は大きくなりますが、7%は金融庁が示す過去実績の範囲(年率2〜8%)の上限に近い水準で、将来を保証するものではありません。高い利回りを前提にした計画は、実際の成績がそれを下回ったときに、目標との差が大きくなります。
Q3. 報じられた事例のように、社債で運用すれば同じ結果になりますか?
同じ結果になるとは言えません。事例の内容は本人の発言の報道で、「年6%」は将来の保証ではありません。社債には、発行体の信用リスク、為替リスク、金利変動リスクがあります。本記事は特定の商品を勧めるものではありません。

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免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。記事内のシミュレーションは、一定の仮定(年率・積立額・期間など)に基づく試算であり、将来の運用成果を保証・予測するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。導入で紹介した事例は、報道に基づく本人の発言の紹介であり、公式な資産開示は確認できていません。税制は変更される場合があります。税務の詳細は税理士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家へご相談ください。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。