28歳で資産2億円はどれほど難しいのか。その2億円が複利でどこまで増え、後から追いかける人がなかなか追い付けない理由【2026年10月】
約3分・音声と字幕つき。内容は2026年10月26日時点で、本文の要点です。事例の資産額などは本人の発言の報道に基づきます。シミュレーションは本記事のコード計算による仮想モデルケース(想定)で、信託報酬0.05%を引いた年4.95%、税なしで計算しており、将来の予測ではありません。20代の金融資産はJ-FLEC、平均給与は国税庁の公表値です。
音声:VOICEVOX:玄野武宏(CV:ガロ)
YouTuberとして知られた「こーくん」が「28歳で資産約2億円」と話したと報じられました。この記事は、その金額の評価ではなく、数字として何が起きているのかを確かめます。①20代で2億円を築くのはどれほど難しいのか。②その2億円が複利でどこまで増えるのか。③後ろから追いかける人は、どれだけの積立をすれば追い付けるのか。結論を先に言うと、複利は「時間」が味方になるほど強く、後から始める側の必要額は想像より急に大きくなります。
出典: J-FLEC、本記事のコード計算
28歳で2億円は、どれほど難しいのか
2026年8月29日に公開されたYouTube動画で、元「なこなこカップル」のこーくん(報道時点で28歳)がFIRE(早期リタイア)を達成したと話したことを、オリコンやJ-CAST、ライブドアニュースなどが8月30日から9月1日にかけて報じました。資産は約2億円、うち約1億2000万円を米国社債中心に投資し、おおむね年6%の利回りで月60万円ほどが入る、と本人が話したと報じられています。資産額などは本人の発言として報じられたもので、公式な開示や内訳は確認できていません。本記事は、この金額がどれほど大きいのかを、数字で測ります。
20代の金融資産は、ふつうどれくらいか
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」2025年によると、20歳代の金融資産保有額(預貯金のほか保険・有価証券などを含み、保有していない世帯も含む)は、単身世帯で平均255万円、中央値37万円、二人以上世帯で平均525万円、中央値125万円と報じられています。平均は一部の高額な世帯に引き上げられるため、「真ん中」の感覚に近いのは中央値です。20代の単身世帯の中央値は37万円で、2億円はその約540倍にあたります。
逆算すると、毎月いくら積み立てれば2億円になるのか
「社会人になってから積み立てて28歳までに2億円」と仮定すると、毎月いくら必要になるのかを逆算します。年4.95%(実効年率5%から信託報酬0.05%を引いた値)で、税は考慮しません。
前提条件:毎月の積立額を月末に積立、年4.95%を月利に換算、税は考慮しない。2億円に到達する月額を逆算(コード計算)
| 積立開始 | 期間 | 必要な月額 | 元本 | 運用益 |
|---|---|---|---|---|
| 22歳(28歳まで) | 6年 | 約240万円 | 約1億7,276万円 | 約2,724万円 |
| 20歳(28歳まで) | 8年 | 約171万円 | 約1億6,416万円 | 約3,584万円 |
| 18歳(28歳まで) | 10年 | 約130万円 | 約1億5,588万円 | 約4,412万円 |
仮想モデルケースの逆算(想定)。実在の人物の経緯とは無関係です。
22歳から始めても、年間で約2,879万円、月にして約240万円の積立が必要です。国税庁の民間給与実態統計調査(令和6年分)で、給与所得者の平均給与は478万円です。2,879万円はその約6.0倍にあたります。また、2億円のうち運用益は約2,724万円(約13.6%)で、残りは元本です。つまり、28歳までの短い期間では、複利よりも「最初に積める元本の大きさ」が決め手になります。給与からの積立だけで届く水準ではなく、この金額をどう築いたのかは、報道から確認できていないため、本記事では扱いません。
複利のすごさ:同じ月5万円でも、始める年齢でここまで違う
ここからは、普通の人の積立でも見える「複利と時間」の力です。同じ月5万円・年4.95%で60歳まで積み立て、開始年齢だけを変えます。
前提条件(S1):毎月5.0万円を月末に積立、実効年率5.00%から信託報酬0.05%を差し引いた年4.95%を月利に換算、税は考慮しない
| 積立期間 | 元本 | 最終資産額 | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 15年 | 900万円 | 1,319万円 | 419万円 |
| 25年 | 1,500万円 | 2,908万円 | 1,408万円 |
| 32年 | 1,920万円 | 4,577万円 | 2,657万円 |
| 38年 | 2,280万円 | 6,533万円 | 4,253万円 |
シミュレーション結果(想定)。15年=45歳開始、25年=35歳開始、32年=28歳開始、38年=22歳開始(いずれも60歳時点)。仮想モデルケースです。
出典: 本記事のコード計算(sim_engine)
22歳開始と28歳開始の差は、始めた時期が6年違うだけです。6年分の元本の差は5万円×12か月×6年=360万円ですが、60歳時点の資産額の差は6,533万円−4,577万円=1,956万円になります。差のうち元本の差は360万円で、残りの1,596万円は、先に入れたお金が長く運用された「時間」の差です。22歳開始と45歳開始では、6,533万円−1,319万円=5,214万円の差があります。複利の力は、期間が長くなるほど大きくなります。
その2億円は、複利でどこまで増えるのか
では、28歳で2億円を持っている人が、その後は1円も積み立てず、年4.95%で運用を続けたらどうなるでしょうか。税と変動は考慮しない、単純な仮定です。
前提条件:28歳時点の2億円を年4.95%で複利運用、追加の積立なし、税は考慮しない(コード計算)
| 年齢 | 経過年数 | 資産額 | 万円表記 |
|---|---|---|---|
| 28歳 | 0年 | 2億円 | 20,000万円 |
| 40歳 | 12年 | 約3億5,712万円 | 35,712万円 |
| 50歳 | 22年 | 約5億7,895万円 | 57,895万円 |
| 60歳 | 32年 | 約9億3,857万円 | 93,857万円 |
シミュレーション結果(想定)。仮想の計算であり、実在の人物の将来を示すものではありません。
出典: 本記事のコード計算
2億円に年4.95%を掛けると、最初の1年だけで約990万円です。これは、さきほどの平均給与478万円の約2倍にあたります。何もせず運用を続けるだけで、32年後には約9億3,857万円、元の約4.7倍になります。複利は、元本が大きいほど、そして時間が長いほど、金額の伸びが急になります。
後ろから追いかける人は、追い付けるのか
この約9億3,857万円(60歳)に、同じ28歳で資産ゼロから積立を始めた人が並ぶには、毎月いくら必要でしょうか。同じ年4.95%、税なしで逆算しました。
前提条件:60歳時点の約9億3,857万円に並ぶ月額を逆算。年4.95%を月利に換算、毎月末に積立、税は考慮しない(コード計算)
| 積立開始(ゼロから) | 期間 | 必要な月額 | 元本 |
|---|---|---|---|
| 28歳 | 32年 | 約102.5万円 | 約3億9,373万円 |
| 35歳 | 25年 | 約161.4万円 | 約4億8,415万円 |
| 45歳 | 15年 | 約355.8万円 | 約6億4,049万円 |
シミュレーション結果(想定)。仮想モデルケースの概算です。
28歳から始めても、月約102.5万円を32年間、休まず積み立てる必要があります。年間では約1,230万円で、平均給与478万円の約2.6倍です。35歳からなら月約161.4万円、45歳からなら月約355.8万円です。遅れが大きくなるほど、必要な月額は急に大きくなります。先行者との差は、積立額の差だけでは、なかなか埋まりません。これが、複利の「時間」の力です。
ふつうの積立で考えても、遅れは大きい
金額の水準を下げて、「22歳から月5万円」の6,533万円に並ぶ場合も確認します。必要な積立額の倍率は、28歳開始なら約1.43倍(月約7.1万円)、35歳開始なら約2.25倍(月約11.2万円)、45歳開始なら約4.95倍(月約24.8万円)です。月5万円の6,533万円という身近な水準でも、開始が13年遅れると積立額を約2.25倍、23年遅れると約4.95倍にする必要があります。
「追い付けない」と断定はできません。ただ、数字からは、遅れた側が追い付くには、積立額を大きく増やす必要があります。開始時期の差は、金額以上に大きく効きます。裏を返せば、今日が人生で最も早い開始日です。
数字を読むときの注意点
- 税:本記事の計算は税を考慮していません。上場株式等の配当・譲渡益に対する申告分離課税の税率は20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)で、課税口座では運用益から差し引かれます(国税庁)。新NISAの口座内の運用益は非課税ですが、年間投資枠は360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。月数十万円の積立は、枠を超えて課税口座になります。
- 変動:年4.95%が毎年一定という前提です。実際の運用成績は年ごとにばらつきます。金融庁の資料には、国内外の株式・債券に分散した積立投資を20年間続けた場合、収益が年率2〜8%に収まる傾向があるという、1985年以降の過去データに基づく説明がありますが、将来を保証するものではありません。元本割れの可能性もあります。
- インフレ:表は名目の金額です。2026年9月分の全国消費者物価指数は総合で前年同月比+2.1%でした(総務省統計局、2026年10月23日公表)。物価が上がれば、同じ金額の購買力は下がります。
- 事例の扱い:こーくんの資産額・運用内容は、本人の発言として報じられたもので、公式な資産開示は確認できていません。「年6%」は本人の発言であり、将来の保証ではありません。社債には発行体の信用リスク、為替リスク、金利変動リスクがあります。本記事は特定の商品やFIREを勧めるものではなく、事例の再現でもありません。
まとめとFAQ
この記事で数字から言えること
- 28歳で2億円は、積立だけでは届きにくい水準:20代単身世帯の金融資産の中央値は37万円(J-FLEC 2025年)。22歳から6年で2億円に届くには、年4.95%でも月約240万円の積立が必要です(仮定の逆算)。
- 複利は時間が味方になるほど強い:同じ月5万円でも、60歳時点の資産額は22歳開始で6,533万円、45歳開始で1,319万円。差のうち、元本の差は一部で、大部分は運用期間の差です。
- 2億円は何もしなくても大きく増える(仮定):追加なし・年4.95%・税なしで、60歳時点は約9億3,857万円。
- 後から追いかける側の必要額は急に大きくなる:ゼロから28歳で始めて並ぶには月約102.5万円、35歳なら約161.4万円、45歳なら約355.8万円。
この記事は、FIREや早期リタイア、特定の運用商品を勧めるものではありません。数字は仮定であり、将来の結果を保証しません。ご自身の条件で試算することが出発点です。
よくある質問
- Q1. 今から始めても遅いですか?
- 「遅い」と決めつける必要はありません。ただ、開始が遅れるほど、同じ金額に並ぶための月額は急に大きくなります。今日が最も早い開始日なので、無理のない金額で、まず始めることが大切です。
- Q2. 利回りを7%にすれば、遅れを取り戻せますか?
- 利回りが高ければ結果は大きくなりますが、7%は金融庁が示す過去実績の範囲(年率2〜8%)の上限に近い水準で、将来を保証するものではありません。高い利回りを前提にした計画は、実際の成績がそれを下回ったときに、目標との差が大きくなります。
- Q3. 報じられた事例のように、社債で運用すれば同じ結果になりますか?
- 同じ結果になるとは言えません。事例の内容は本人の発言の報道で、「年6%」は将来の保証ではありません。社債には、発行体の信用リスク、為替リスク、金利変動リスクがあります。本記事は特定の商品を勧めるものではありません。
参考にした情報源
- オリコン(Yahoo!ニュース配信):28歳YouTuberが“FIRE”達成を告白(本人発言の報道)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a3acd8ae86c6df24770eea40c618f56fc41ed44e - J-CAST ニュース:元人気カップルYouTuber、28歳で「FIRE」達成(本人発言の報道)
https://www.j-cast.com/2026/09/01517575.html?p=all - ライブドアニュース:28歳ユーチューバーのこーくんがFIRE達成を告白、貯金は約2億円(2026年8月30日掲載)
https://news.livedoor.com/topics/detail/32196850/ - 金融庁 NISA特設サイト「資産形成の基本」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/ - 国税庁 確定申告書等作成コーナー(上場株式等の配当所得等に係る申告分離課税制度)
https://www.keisan.nta.go.jp/r4yokuaru/cat2/cat21/cat215/shinkokubunrikazei.html - 総務省統計局 消費者物価指数 全国 2026年9月分 概況
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf - J-FLEC(金融経済教育推進機構)「投資の時間」:債券投資のリスクって何?
https://www.j-flec.go.jp/links/jikan/qa/010.html