2026年11月から家計で変わること:電気代・食品・自賠責・預金金利を「月額」で並べて差し引きする
約3分・音声と字幕つき。内容は2026年10月28日時点で、本文の要点です。数値の出典は、東京電力エナジーパートナー、帝国データバンク、各種報道などです。預金の試算は仮想のモデルケースです。
音声:VOICEVOX:玄野武宏(CV:ガロ)
11月は「支出が増える話」と「利息が増える話」が同じ週に重なります。ただ、ニュースは項目ごとにバラバラで、結局わが家が月いくら得して、月いくら損するのかは見えにくいままです。
この記事では、電気代・自賠責保険料・食品の値上げ・メガバンクの普通預金0.5%を同じ物差し(月額・年額)に直し、差し引きの目安を出します。預金額別の試算も載せます。
【結論】11月に変わる4項目と月額の早見表
出典: 東京電力エナジーパートナー、帝国データバンク、各種報道ほか
先に結論の枠組みを示します。11月に動く4項目は、家計への向きが違います。
| 項目 | 施行日 | 家計への向き | 目安(月額) |
|---|---|---|---|
| 電気代(託送料金の見直し) | 11月1日 | 支出が増える | 東電EPのモデルで月254円増 |
| 自賠責保険料 | 11月1日以降に保険期間が始まる契約 | 支出が増える | 自家用乗用24か月で約38円(月割) |
| 食品の値上げ | 11月中に順次 | 支出が増える | 世帯ごとに異なる(本稿では式で示す) |
| 普通預金金利(3メガバンク) | 11月2日 | 利息が増える | 預金額により月66円〜664円(税引後・年額の月割) |
- 電気代の「月254円増」は、東京電力エナジーパートナー(東電EP)の従量電灯B・30A・月260kWhという条件の数字です。全国の標準家庭の数字ではありません。
- 自賠責の「+6.2%」は全車種の平均です。自家用乗用車の24か月契約は約5.2%増、軽自動車の24か月契約は約6.4%増です。
- 預金金利が0.5%になっても、利息が通帳に入るのは年2回(報道による)で、11月から毎月増えるわけではありません。
この記事の前提:対象範囲と試算条件
対象は、11月1日〜9日に施行される項目です。条件をそろえないと比較に意味がないため、先に前提を置きます。
- 金額は、出典で確認できたものだけを使います。確認できなかった数字は、書かないか「報道では」と明記します。
- 食品は、世帯ごとの購入品目・数量が分からないと金額を出せないため、金額を断定せず「自分で当てはめる式」を示します。
- 日本銀行の次回の金融政策決定会合の結果や、今後の金利水準は予測しません。
電気代:託送料金の改定で月いくら変わるか
託送料金とは
託送料金は、電気を送る送配電網の利用料で、小売電気事業者が負担して電気料金に反映します。送配電会社が2026年7月に収入見通しの変更を経済産業大臣へ申請しており、11月1日から旧一般電気事業者9社(北陸電力を除く)が電気料金へ反映すると報じられています。
東京電力EPのモデルでは月254円増
報道によると、東電EPの公表では、従量電灯B・30A・月260kWhの標準モデルで、2026年11月1日から月254円の値上げです。内訳は次のとおりです。
| 内訳 | 改定前 | 改定後・変化 |
|---|---|---|
| 基本料金(30A) | 935.25円 | 1,176.18円(+240.93円) |
| 電力量料金 | — | 全使用量区分で1kWhあたり+0.05円 |
検算すると、240.93円+0.05円×260kWh=約253.9円で、254円と整合します。年額に直すと254円×12か月=3,048円です。
同じ「標準家庭」でも会社・条件で数字が違う
| 会社・モデル | 月額の影響 | 年額換算 |
|---|---|---|
| 東電EP(従量電灯B・30A・260kWh) | +254円 | 3,048円 |
| 四国電力(従量電灯A・260kWh) | +478円 | 5,736円 |
| 北海道電力(従量電灯B・30A・230kWh) | +約481円 | 約5,772円 |
使用量や契約の前提が会社ごとに違うため、横並びで「どこが高い・安い」とは言えません。ご自宅の影響は、検針票のプラン名・契約アンペア・使用量と、契約している電力会社の公表を見て確認してください。新電力は託送料金の転嫁の仕方が契約によって異なります。
食品の値上げ:品目数では家計の額は決まらない
帝国データバンクの集計(2026年9月30日公表)では、2026年11月の飲食料品の値上げは1,469品目です。前年同月は150品目で、約10倍ですが、10月の3,153品目よりは大きく減ります。
| 分野 | 11月の品目数 |
|---|---|
| 調味料 | 644 |
| 酒類・飲料 | 417 |
| 加工食品 | 275 |
| 菓子 | 133 |
| 合計 | 1,469 |
同社は、年内の値上げラッシュは10月をピークに一旦収束するとの見方を示しています。ただし、これは9月30日時点で判明した分で、以後の追加・訂正はあり得ます。
「1,469品目」を家計の月額にする方法
1,469品目は「値上げされる商品の数」であって、家計の支出が1,469品目分増えるわけではありません。家計への影響は、次の式で考えます。
対象品目への月の支出は、レシートや家計簿で「調味料・飲料・加工食品・菓子」にいくら使っているかを見ると把握できます。
本稿では、世帯の購入割合や値上げ率の出典を確認できていないため、食品の金額は断定しません。代わりに、次の章で「食品の追加負担が月いくらを超えると家計がマイナスになるか」という逆算の形で使います。
自賠責保険料:車1台あたりの年額・月額
自賠責保険料は、2026年11月1日から全車種平均で6.2%引き上げられます(約13年ぶり。損害保険料率算出機構が2026年4月30日に金融庁長官へ届け出たと報じられています)。保険期間の始期が11月1日以降の契約から適用です。
| 車種・契約期間 | 改定前 | 改定後 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 自家用乗用車 24か月 | 17,650円 | 18,560円 | +910円(+5.2%) |
| 自家用乗用車 36か月 | 23,690円 | 24,690円 | +1,000円 |
| 軽自動車 24か月 | 17,540円 | 18,660円 | +1,120円(+6.4%) |
| 軽自動車 36か月 | 23,520円 | 24,830円 | +1,310円 |
※沖縄・離島を除く。解説記事等で確認した数字で、損害保険料率算出機構の原本は未読のため、実際の保険料は契約時にご確認ください。
月額に直すとどうなるか
- 自家用乗用車(24か月):910円÷24か月=約38円/月(年換算で455円)
- 軽自動車(24か月):1,120円÷24か月=約47円/月(年換算で560円)
自賠責は車検のたびにまとめて払う費用なので、月々の出費としては感じにくい一方、車検時の請求額は確実に増えます。決まるのは「車検を受けた日」ではなく、保険期間の始期です。10月中に始期が来る契約は旧料金のままです。
普通預金0.5%:預金額別の利息増加額
三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3行は、2026年9月18日に普通預金金利を年0.4%から0.5%へ引き上げると発表したと報じられています。適用は11月2日からです。三菱UFJ・三井住友では旧行時代の1992年以来、約34年ぶりの水準とする報道があります(みずほ銀行は別の報道もあり、比較の基準は銀行により異なります)。日銀が同日に政策金利を1.25%程度へ引き上げたことに連動した動きです。
利息が入るのはいつか
報道(LIMO)によると、メガバンクの普通預金の利息は2月と8月の年2回、残高1,000円以上の日が対象です。この場合、11月2日からの引き上げ分が初めて通帳に入るのは2027年2月になります。各行の規定は、ご利用の銀行の公式案内で確認してください。
預金額別の試算(年額・税引前/税引後)
0.4%と0.5%で、1年間(残高が変わらないと仮定)の利息を比べます。税引後は税率20.315%を引いた額です。
| 預金額 | 0.4%の利息(税引前) | 0.5%の利息(税引前) | 増加額(税引前) | 増加額(税引後) |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 4,000円 | 5,000円 | 1,000円 | 797円 |
| 300万円 | 12,000円 | 15,000円 | 3,000円 | 2,391円 |
| 500万円 | 20,000円 | 25,000円 | 5,000円 | 3,984円 |
| 1,000万円 | 40,000円 | 50,000円 | 10,000円 | 7,969円 |
出典: 本記事の試算(仮想モデルケース)
参考までに、税引後の実際の受取額は、0.5%で100万円なら年3,984円、500万円なら年19,921円です。増加分は元の利息に比べて小さく見えますが、預金額が大きいほど差が広がります。
なお、ここで扱っているのは3メガバンクの普通預金です。定期預金、ゆうちょ銀行、地方銀行、ネット銀行の対応は本稿では確認できておらず、断定しません。特定の銀行や商品をすすめるものでもありません。
4項目を月額で並べて差し引きする
ここまでの数字を、月額に直して並べます。預金の利息は「年額÷12か月」の月割で、実際の入金は年2回、自賠責は車検時の一括払いなので、あくまで家計全体の目安を見るための換算です。
出典: 本記事の試算(仮想モデルケース)
差し引きの表(食品を除く)
増える支出は、電気代254円+自賠責約38円=約292円/月です。これに預金額別の利息の増加(税引後・月割)を当てると、次のようになります。
| 預金額 | 増える支出(月) | 増える利息(月・税引後) | 差し引き(月) |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 約292円 | 約66円 | 約−226円 |
| 300万円 | 約292円 | 約199円 | 約−93円 |
| 500万円 | 約292円 | 約332円 | 約+40円 |
| 1,000万円 | 約292円 | 約664円 | 約+372円 |
食品を足すと、どこで逆転するか
食品の値上げはここに上乗せされます。たとえば500万円のケースは、差し引きが約+40円です。食品の追加負担が月40円を超えると、マイナスに転じます。1,000万円のケースでも、食品の追加負担が月372円を超えると同じです。一方、100万円・300万円のケースは、食品の値上げがなくても、この比較ではマイナスです。
- これは「どの家計でもこうなる」という予測ではありません。契約中の電力会社、車の有無、預金額、食品の購入内容で結果は変わります。
- 車を持たない世帯は自賠責の分がなく、電気代が東電EP以外なら額が違います。
- 物価が上がると、同じ金額で買えるものは減ります。利息が増えても、実質的な購買力がどうなるかは別の話です。「得」「損」と断定せず、あくまで月額の見え方の整理として使ってください。
- 預金は元本保証でも、金利の変動、税、インフレの影響を受けます。
11月のうちに確認しておきたいこと
- 電気の検針票を見るプラン名・契約アンペア・使用量を確認し、契約中の電力会社の公表と照らして月額の影響を把握する。
- 車検・自賠責の始期を見る保険期間の始期が11月1日以降か、車検の予定日と請求額を確認する。
- 食費の中身を見る調味料・飲料・加工食品・菓子への月の支出を、レシートや家計簿で把握する。
- 預金の銀行と残高を見る0.5%が適用される銀行か、利息が入る時期はいつかを公式案内で確認する。
- 電気:検針票でプラン名・契約アンペア・月の使用量を確認します。ご自身の条件が東電EPのモデルと近いかを見比べてください。
- 車:次の車検の日程と、自賠責の保険期間の始期を確認します。車検のたびに請求額が増えるので、予算に織り込んでおきます。
- 食費:値上げ対象になりやすい調味料・飲料・加工食品・菓子への支出を、1か月分だけでも集計します。先ほどの式に当てはめると、追加負担の目安が出ます。
- 預金:口座の銀行が今回の引き上げの対象か、利息が入る月はいつかを、公式案内で確認します。
まとめ
- 11月1日〜9日に動く4項目は、支出が増えるもの(電気代・自賠責・食品)と、利息が増えるもの(メガバンクの普通預金0.5%)が混在しています。
- 電気代は東電EPのモデルで月254円増(年3,048円)。ただし会社・条件で数字は違います。
- 自賠責は自家用乗用24か月で+910円(月割で約38円)、軽自動車24か月で+1,120円(月割で約47円)。決まるのは保険期間の始期です。
- 食品の1,469品目は、家計の追加負担そのものではありません。自分の購入内容に当てはめて考えます。
- 預金利息の増加分は、税引後で100万円なら年797円、500万円なら年3,984円。入金は報道では年2回です。
- 電気代と自賠責の約292円/月に対し、預金額が約440万円を超える場合は、食品を除いて差し引きがプラスになる計算です。ただし条件次第で結果は変わります。