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税務に関する免責事項
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。税法は毎年改正されることがあり、個人の状況によって適用される規定が異なります。実際の税務判断・確定申告・節税対策については、税理士または税務署等の専門家にご相談ください

企業型DCを「放置」している人が損している理由

企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入しているにも関わらず、運用商品を変更したことがない人は非常に多くいます。実は加入時のデフォルト設定は多くの場合「元本確保型(定期預金や保険商品)」であり、利率はほぼゼロに近いです。

毎月2万円を30年間、元本確保型(利率0.01%)で運用した場合と、全世界株式インデックス(年利5%想定)で運用した場合の差は約2,000万円にも及びます。企業型DCは「毎月会社が掛け金を拠出してくれる口座」であり、その運用成果は100%自分次第です。放置は最大の機会損失です。

企業型DCの3大メリット

掛け金が全額非課税(社会保険料の節約にも)、②運用益が非課税(通常20.315%の税金ゼロ)、③受取時に退職所得控除または公的年金等控除が適用。三段階すべてで税制優遇がある最強の老後資産形成口座です。

まず確認:自社のDCプランと拠出上限

企業型DCの拠出上限は会社のプランによって異なります。まず自社の規定を確認しましょう。

プランの種類月額拠出上限年間上限
企業型DCのみ加入5.5万円66万円
企業型DC+確定給付年金(DB)併用2.75万円33万円
公務員・共済組合1.2万円14.4万円

会社が負担する「事業主掛け金」に加えて、自分でも追加で拠出できる「マッチング拠出」制度を設けている会社があります。マッチング拠出は事業主掛け金を超えない範囲で拠出でき、全額所得控除が受けられます。

マッチング拠出は「給与天引き前」の節税

マッチング拠出分は給与から天引きされ、所得税・住民税の計算対象から除外されます。年収500万円の方が月1万円マッチング拠出すれば、年間の節税額は約3万円(所得税10%+住民税10%)。社会保険料の軽減効果も加わります。

運用商品の選び方:コアはインデックスファンド一択

企業型DCで提供される運用商品は会社によって異なりますが、一般的に元本確保型・国内株式・外国株式・国内債券・外国債券・バランス型などが用意されています。

選ぶべき商品の優先順位

  1. 外国株式インデックスファンド(全世界株式またはS&P500連動):信託報酬が最も低く、長期リターンが高い。30〜40代の中心商品に。
  2. 国内株式インデックスファンド:TOPIX連動など。外国株との分散に。割合は20〜30%程度。
  3. バランス型ファンド:株式・債券を自動分散。50代以降のリスク軽減フェーズで比率を増やす。
  4. 元本確保型(定期預金):退職間近(5年以内)に一部移行を検討。それ以外は原則不要。
「信託報酬」を必ず確認する

同じ「外国株式インデックス」でも、信託報酬が年0.1%の商品と1.5%の商品では30年後の資産に数百万円の差が出ます。必ず信託報酬(コスト)が低い商品を優先してください。

配分変更とスイッチング:いつ・どう動かすか

企業型DCには「配分変更」と「スイッチング」の2種類の操作があります。混同しやすいため整理します。

操作対象使いどき
配分変更これから拠出する掛け金の商品割合今後の積立先を変えたいとき
スイッチングすでに積み上がった残高の商品割合今の資産配分を見直したいとき

元本確保型で積み上がった残高を株式インデックスに移したい場合は「スイッチング」が必要です。ただしスイッチングは一度に大きな金額を動かすより、複数回に分けて実施する(分割スイッチング)ことで、タイミングリスクを分散できます。

年齢別のポートフォリオ設計

企業型DCは60歳(または65歳)まで引き出せないため、年齢に応じてリスク水準を調整することが重要です。

年代外国株式インデックス国内株式インデックスバランス型・債券元本確保型
20〜30代70〜80%20〜30%0%0%
40代60〜70%20%10〜20%0%
50代前半50〜60%10〜20%20〜30%0〜10%
55〜60歳30〜40%10%30〜40%10〜30%

退職が近づくにつれ元本確保型・債券比率を上げるのは「シーケンス・オブ・リターン・リスク」(退職直前に暴落が来て回復を待てない)への対策です。一方で60歳以降も運用を継続できる場合(75歳まで受取延長)は、退職後も一定の株式比率を維持する戦略が有効です。

iDeCoとの違い・同時活用の考え方

会社員で企業型DCに加入している場合、iDeCoとの同時加入が可能です(2022年10月改正から要件緩和)。ただしiDeCoの掛け金上限は企業型DCの状況によって変わります。

  • 企業型DCのみ(DBなし):iDeCoの上限は月2万円(ただし企業型DC掛け金と合わせて月5.5万円以内)
  • 企業型DC+DB併用:iDeCoの上限は月1.2万円

企業型DCはマッチング拠出で上限まで使い切っているなら、iDeCoに追加する余地は少ない場合もあります。まず企業型DCを最大活用してから、余裕があればiDeCoも加入する順番が基本です。

転職時のDC移管(ポータビリティ)

企業型DCの残高は転職先のDCまたはiDeCoへ移管できます(6ヶ月以内に手続き必要)。期限を過ぎると自動でiDeCoへ移管されますが、移管先で元本確保型に強制変更されるため、早期に自分で運用商品を設定し直すことが重要です。

DC運用のポートフォリオを最適化してみよう

株式・債券・現金の比率と想定利回りを入力すると、モンテカルロシミュレーションで将来の資産分布を試算。企業型DCの運用配分の検討にも活用できます。

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